今回は首都圏中学入試における「試し受験のメッカ」である栄東中の使い方について述べたいと思います。
しかし、A入試の締め切りは本日(の23:59ですので遅すぎた感もありますが。
栄東中の入試については、塾講師ですらよく理解していないらしく、「理解しがたい受け方」(笑)も散見しますので、ここで指摘しておきます。なお偏差値は四谷大塚のものです。
一、栄東中の基本その1
A入試とB入試は同じ入試と誤解されるが、まったく異なる入試である。
A入試(今年は10日)は、東大コース(偏差値おおむね62)と、難関大コース(偏差値おおむね57)の二種類の合格者が出る入試である。ところがB入試(18日)は難関大コース(おおむね偏差値55前後)の合格者しか出ない入試である。
したがって、A入試とB入試の同時出願はあり得ない選択と言わざる負えない。なぜなら、A入試で東大コースの合格を勝ち得た場合、それよりグレードの低いコースであるB入試を受ける意義に乏しいからである。
二、栄東中の基本その2
東大Ⅰと東大Ⅱは名称からすれば、同じ入試と誤解されるが全く異なる入試である。
東大Ⅰ(今年は11日、偏差値66前後)は授業料1年免除(入学後の成績で更新可能)の東大コース特待生の合格者のみが出る入試である。ところが、東大Ⅱ(16日)は東大コース(偏差値62前後)と東大コース特待生の2種類の合格者が出る入試である。そして、特待合格者の数は東大Ⅰの方がはるかに多い=東大Ⅱ入試より特待生ははるかに出やすい。だから、栄東東大コース特待を2月入試の自信の源としてほしいのならば、まず東大Ⅰを受験すべきであり、東大Ⅰで特待をとれなかった場合に、東大Ⅱを受けるべきなのである。
三、栄東中の基本その3
受験料は2回で25000円。3回目以降は+5000円である。
したがって1回しか受けないのはお金の無駄ではないか?2回場数を踏めるのであれば、2回受けるべきである。
四、栄東中の基本その4
複数回受験をしていればB入試で30点加点される。この制度を有効活用したい。B入試を初めての入試にするのは、この30点加点組と戦わねばならず、自殺行為ではないか?
五、栄東中の基本その5
得点開示を有効活用しよう。各教科の平均点と自分の得点差が分かるから、塾に問題を入手してもらい復習して最後の弱点強化に役立てるのだ。
六、したがって、本年度の栄東中の受験パターンは次のようなものである。
普通、上位生(偏差値65前後を確認したい生徒、つまり特待合格を勝ち得たい場合)は、
A(10日)→東大Ⅰ(11日)と同時出願する。
そして結果が、
~①A東大〇、東大Ⅰで特待〇~理想パターン。
②A難関〇、東大Ⅰで特待〇~Aでミスがあったようだ。Aの入試を復習して次の入試に挑戦だ。
③A東大〇、東大Ⅰ不合格~偏差値62前後は確認できた。悔しければ、東大Ⅱを受け特待チャレンジ。
④A難関、東大Ⅰ不合格~偏差値57前後は確認できた。悔しければ東大Ⅱで特待、東大コースにチャレンジ)
⑤A不合格、東大Ⅰ不合格~東大Ⅱで逆転合格を狙おう。これも不合格だった場合(17日10:00合格発表)、Bで30点加点を背景にリベンジを狙うか。
偏差値55前後を確認できれば良いのなら、
Aの結果を見て、不合格なら、Bを出願すればよい。
ところで、偏差値50前後の生徒の場合、あるいは慶応中等部受験生は佐久長聖などを試し受験として使う場合もあろう。しかし、デメリットは成績表で各教科の平均点が出ず、どの教科でダメだったのか、良かったのかがわからないことだ(昨年度の場合)。また、ここも2回受験して2万円なのだから、2回受けて場数を踏みたいところである。
今回の記事はお役に立ちましたか。役に立ったとお感じであれば、下の画像をポチして、当ブログを応援してください。