サピックス中学入試報告会2020 | 中学受験国語研究ブログ

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とある大手塾で4年連続ナンバーワンの評価をいただいておりました。中学受験生、その保護者あるいは教育関係者に役立つ情報を提供します。

サピックスがオンライン上で提供している中学入試報告会の概要についてお知らせします。

 

一、総論

1、首都圏における小6の人数(約28万人)、受験率(14.3%)が昨年より微増したため、2月1日午前入試における受験人数もやや増加し、4万1千人となった。

2、受験率の向上は、①不確かな今後の大学入試や、②難関私大のさらなる難化への私立中の対応力への評価、にあると思う。

3、今後も中学入試は盛んになるかもしれない。なぜなら、受験率の高い23区東部の小学生が増加傾向であるからだ。しかし、コロナの影響による不景気になると、受験率は低下する可能性がある。

4、もし、受験率が上がれば、三田国際、開智日本橋など人気が急上昇している学校の難化は避けられない。もし、受験率が下がれは、人気校と不人気校の二極化が進むだろう。

5、ところで、今年の入試の特徴は

①1月校(千葉、埼玉)の人気

②2月4日以降の入試の激化(ぎりぎりまで申し込み可能なWEB出願、午後入試などを活用し、進学先を確保したうえで、4日以降はチャレンジ校に挑戦か?)

③共学校の人気は一段落し、男子校、女子高の人気が出た。

④午後入試で復活をとげた学校が多数ある(巣鴨中、世田谷学園、湘南白百合、田園調布、富士見、香蘭、晃華など)

⑤大学付属中人気は変わらず(私大の難化、中高大接続教育への高評価)

⑥青山学院中の入試日変更(2日→3日)により、2日入試は受験生が増加した学校がある反面(KSFCなど)、3日入試は受験生が減った学校があった(慶応中等部など)

などがあげられる。

6、志望校選びに際しては、自ら足を運ぶことが重要であることは言うまでもない。

 

二、算数

1、今年の出題傾向だが典型題に少し変化を加えたものが目立った。

たとえば立体に光をあてた影についての問題は典型題だが、光が当たる場所を答える問題(開成)、立体の切断は典型題だが、切断後の立体の中に立体を入れる問題(豊島岡)などである。

2、図が不正確な出題がある(早稲田など)。

3、場合の数の問題については、以前のような超難問は減少した。しかし、単に書き出すだけでは解答不可能で、場合分けして調べることが要求される問題がある(フェリス、慶応普通部)。

4、問題の長文化、答えが一つではない問題、生活に密着した問題(武蔵、選挙における按分について)、答えの数字が汚い問題なども目立ってきているが、まだ主流とは言えない。

5、これらに対処するためには、典型題の適切な時期における反復、過去問も大事だが、サピックステキストの演習をより重視すること、授業後、子供に説明させること、計算力をしっかり身に着けることを重視してほしい。

 

三、国語

素材文について

1.ここ1,2年に出版された問題が目立つ

2、テーマは、

①持続可能性(本郷など)

②自分と違う他者を理解する(開成・麻布~女子、駒東・渋幕~ハーフ、栄光学園・中大附属、世田谷・海城~障害者)

③未知の世界を理解する(渋幕「豊穣の海」からの出題など)

設問について

1、文章を正確に読み取る力を求める。たとえば「本文全体から正しいものを選びなさい」。つまり、選択肢と、文章の該当部分を逐一比較、検討する力が求められているのである(豊島岡など)。

2、経験、常識力をためす。たとえば、本ができるまでにはどんな仕事があるか(JG)、友人と予定があるため、先生の誘いを断るときの先生を傷つけない断り方(慶応中等部)など。

3、語彙力があった方が解きやすい問題が目立つ(桜蔭「コペルニクス的転回」、筑附「逆もまたしかり」など)

4、これらに対処するためには、家庭での抽象的な言葉を使ったコミュニケーションが大切である。

 

四、理科

1、得点差がつきやすい出題となっている。すなわち、難度が難しすぎず易しすぎず、小手先の問題演習では太刀打ちできない問題が多いということである。開成中で、受験者平均点と合格者平均点との差が7.9点もあることに注目。

2、具体的には「日常生活に密着した知識」(渋々~トースターなど)、「解法力」(化学反応の計算など)、「現場で考え判断し、表現する」(巣鴨など~与えられた条件のグラフを選択する問題、開成~葉の成長について、グラフを与え判断させる問題)という力を試す問題である。

3、時事問題も大事。駒東の「鳥」についての問題は、国立科学博物館の特別展の影響かもしれない。その他、聖光学院の「月」に関する問題(アポロ11号月面着陸50周年が影響)、巣鴨の「地震に関する問題」(阪神淡路大震災25周年、来年が東日本大震災10周年であることが影響)。

 

五、社会

1、出題の割合は、おおむね地理3.5、公民2.5。

2、「確実な知識」を問う問題が多かった(国司と郡司の違い~吉祥、竪穴住居の柱の跡~慶応普通部、山口県は天気予報ではなぜ九州扱いなのか~学習院女子)

3、思い込みを疑える力が問われた(田んぼには稲以外も植えられる~豊島岡、江戸時代の百姓一揆の真実~本郷、和歌から人の生活はわからない~JG)。

4、小学生であることに安住していてはだめ。当事者意識をもって生きることが求められている(選挙の投票率を上げる工夫~巣鴨、核兵器を廃止するためにできること~雙葉)

 

 

 

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