日能研入試報告会2020(オン・ザ・ロード2020) | 中学受験国語研究ブログ

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とある大手塾で4年連続ナンバーワンの評価をいただいておりました。中学受験生、その保護者あるいは教育関係者に役立つ情報を提供します。

本日は、HP上で特に手続きすることなく観られる(http://www.nichinoken.co.jp/event/goukaku2020/)日能研の入試報告会、「オン・ザ・ロード2020」の概要についてお知らせします。

周知のとおり、首都圏の日能研は「関東系」と「本部系」に分かれていますが、今回の動画は「本部系」の担当だったらしく、「本部系」色の強いものでした。「関東系」と「本部系」とでは微妙にやっていることも違うようです。

先生方が全員「SDG‘S」のバッジを付けているのも、まさに日能研「本部系」の特徴でしょうか。しかし、SDG‘Sは、

①要するに貧しい地域の人を救おうということですから、先進国の富が発展途上国に移転することを意味し、富の総量が増えない限り、先進国にとっては不利なこと、

②グローバル化のさらなる進展を意味すること、

などについて十分に検討したのでしょうか?

生徒数においても、現在は関東系が本部系を抜いてしまっているので、本部系の方向性が正しいのかついては、吟味が必要でしょう。「日能研がいい」という層も絶対生まれるだろうな、という説明会でした。

 

一、総括

1、首都圏中学者総数は約6万人、受験率は20.2%、一人当たりの受験校平均は5.1校。

2、東京、埼玉で受験者増加。神奈川、千葉ではやや減。

3、受験者増の原因は

①電車の相互乗り入れが進んだこと。

②多様化する午後入試。巣鴨、暁星、田園調布、湘南白百合など午後入試により復活の兆し。

③入試後半の入試日程の増加(4日以降の受験者増)。

④WEB出願の浸透(手続きの簡素化、受験結果を見ながら、入試直前に出願できる)。

4、注目の学校

①栄東

受験者が6000名を超える。算数一教科入試が導入された。アクティブラーニング、クラブ活動が盛ん。

②渋谷幕張

グローバル化への対応。「東大は選択肢の一つにすぎない」(田村校長)。音楽教育が盛ん。

③女子学院

バランスのとれた人間形成を重視

④吉祥女子

先取りではなく深堀り重視。非言語での表現力を育成するため美術教育を重視

⑤フェリス

お互いの個性を認め合う指導

⑥駒場東邦

出願者昨年比110%。生徒の主体性重視

⑦聖光

出願者昨年比、1次113%、2次114%。校舎のあちらこちらに小さなスペースがあるのは「こういうのがあれば、子供たちが何かに使うだろうから」(工藤校長)

⑧巣鴨

出願者昨年比、1次168%、2次176%、算数入試150%。努力の尊さを指導。

⑨日大豊山

出願者昨年比、1次122%、2次129%。中高大接続プログラムによる「自分探し」

⑩淑徳与野

出願者昨年比、1次114%。グローバル教育が盛ん

⑪昭和女子大附属

出願者昨年比、A171%、B193%、C192%、計184%。「朋友班」と呼ばれる中1から高3までの縦割り組織による活動に注目したい。

⑫和洋国府台

出願者昨年比、1次118%。理科実験を月3回はやる。

⑬洗足

出願者昨年比、1次116%、2次113%。楽器指導プログラム。中3で各クラスごとにオーケストラができる。

⑭湘南白百合

出願者昨年比、1次110%、算数147人。他者のために力を尽くす指導により医療系に進む生徒が多い。

⑮大宮開成

出願者昨年比、男子194%、女子159%。中高一貫のコースを一本化。「自ら立つ、自ら律する」

⑯桐光

出願者昨年比、男子1次111%、2次116%、女子1次116%、2次117%。男女別学。大学の授業を受けられる。

5、学校選びはHPやWEB上の情報だけではなく、直接足を運んで、学校の「人」を見ることが大切である。

 

二、キーノートスピーチ

1、我々が得る情報量は10年で530倍に増えた。江戸時代の一年=今の一日。

2、ソサエティ5.0はすぐやってくる。その時AIに使われるのではなく使う立場になりたい。

                          ↓

これらに対応するために「自分で意思を持ち、選択し、自分を育てる」ことが必要である。この教育は「私学」にこそある。

                          ↓

日能研でも

①ふりかえり(「やってみよう→何が起きた?それって何?→次にいかせるものは?→また、やってみよう」)重視

②集団対話授業

③問づくり④テキストに書き込むことを推奨⑤ビアレビュー(自分の見解に他者が問いを投げかけ、より進化させる)

などで、その要請に応えようとしている。

 

三、注目の中学入試パネルディスカッション

1、他者を理解し、交流することで進歩できる力を問う

国語~男子校で女子が主人公の物語、女子高で男子が主人公の物語の出題。また、登山についての説明文を読ませたうえで、「『エベレストには登らない』という題名に込められた筆者の思いを考えて説明ししなさい」(桜蔭)

算数~仲間とやり取りしながら解答に迫る(サレジオ、本郷、渋々、学習院女子)

社会~SDG‘sに関連して、世界で起きている人権問題への理解など。また、衣服について対立する見解について(麻布)

理科~仲間外れを答えさせる問題だが、様々な観点からの検討が必要で、子供たちの議論を誘発する(武蔵)

2、図、表、グラフ、文章など複数かつ大量の情報が提示され、見て考えて判断する力が問われている

国語~文章の内容にあったイラストを答えさせる(JG)、素材文の内容をもとに猫の写真とイラストを比べさせる(市川)、グラフと表が各2つずつ+雑誌の記事をもとに文章を書かせる(麗澤)

算数~お小遣いについてのクラスのデータをもとに、母・父・姉の見方の違い、お小遣いを増やすために足りないデータなどについて考えさせる(頌栄)

理科~長い文章を読ませる(麻布)

社会~グラフ2つ、表2つが与えられ、情報を整理させ、知識と結びつけることを要求する(聖光)

3、当たり前とされること、常識を疑える力が問われた

国語~「常識は常に変化する」という文章を読ませ「あらためたい常識を挙げ、その常識を捨てたら何が起こるか」を問う(フェリス)

算数~「=」の意味(麗澤)

理科~「カマキリが卵のうをつけるのが積雪の上」という伝承を実際の観察で確かめる(開智)

社会~言葉、両替以外で外国人旅行者がバスに乗るとき困ることを答えさせる(渋幕)

 

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