こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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よりよく生きるにはどうしたらいい?

医療者と医療崩壊と緊急事態宣言

2020年04月06日 | 日々思うこと、考えること
医者に限らず、看護師さんも検査技師さんもその他のコメディカルスタッフの皆さんにとって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さんも、そのほかの疾患の患者さんも同じ患者さんとして対応する。それが仕事なんだから当たり前のことだ。診療にかかわりたくない人は申し出るようにと言われているが、患者さんが来る施設に勤務していたらそうもいっていられない。残念なのは、ほかの疾患のほとんどは感染のリスクというものが極めて低く、癌の患者さんから癌がうつることはほとんどないのに、強い感染力を持つCOVID-19はよほど気をつけないとならないので手間がかかる。
感染防御対策は十分行ったうえでのことだが、ほとんどの医療者はCOVID-19の患者さんに対して、当たり前の様に仕事をするだろう。重症の患者さんがいたら、誰もが同じ重症患者さんだ。ただ、このまま、COVID-19感染患者さんが増え続けたら、総量としての患者さんが増えてしまうので、今の医療者の数では足りなくなる。戦争と同じで、前線で負傷(この場合感染)したらいったん戦線離脱(自宅待機、経過観察)となってしまう。都内の某病院では感染の疑いがある場合、その観察期間は2週間に設定されているそうだが、これが10人もいたらあっという間に医療は崩壊する。このことが一番恐ろしい事態だ。ましてや、イタリアのように医療者が亡くなるという事態になったらコントロールのしようがない。
この国における昨日の時点での感染状況を示す記事があったので、興味のある方はご覧ください(都内の新型コロナ診療医療機関の現状(忽那賢志) 2020年4月5日)。
集中治療設備がイタリアの10分の1だとか、人工心肺ECMOを動かせる人員が500人分しかないとか、”この国の医療ってそんなものだったの!”と思いたくなる様なことが次々と明らかになっているが、それでも世界的に見たらこの国の医療は相当高いレベルにあることを知っていてほしい。それに、こんな大変な感染症が飛び込んでくるなどという前提で医療費を使ってはいない。いまさら、贅沢を言っても仕方がなく、たたただ、自分がかからない努力を日々続けるしかない。
緊急事態宣言のことであれこれ言う人がいるが、それも考え方。COVID-19が終息するまでにあと1年かかるとしたら、それまでその状況を続けることができるかという問題が生じる。政府としてはあくまでも国民の自助努力に望みをかけているらしい。それはそれで一つの見識だろう。布マスク2枚もそう。マスクがいくら供給されても、まずは医療機関に回る。そうしたら、一般の人はいつまでたってもマスクは手に入らない。そうなったら、布マスクでしのぐしかない。
仮に明日、緊急事態宣言が出されたとして、それから私たち日本人はどうするのか?結局、強制力がないからと飲み屋に繰り出す人はいるだろうし、飲み屋を開ける人もいるだろう。生活というより命がかかっているのだから仕方ない。
一昨昨日に書いたが、医療は今、二方面との戦いを強いられていて敗色濃厚だ(二方面との戦いは負ける - 4月3日)。今ここで医療崩壊を招かず最初の山を乗り越えることが出来たら、日本の経済は持ちこたえると思う。でも、ここで医療崩壊が起こったら、数年の単位で再起は難しいことになるだろう。
お願いですから、これ以上”本当はわかっているのに感染経路の不明な感染”を増やさないでください。
stay home
家にいて

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