こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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よりよく生きるにはどうしたらいい?

患者さんの人権についてのわたしの思い

2019年12月13日 | 日々思うこと、考えること
先週、12月4日から10日までは世界人権週間だった。医療のあり方などを書いていて、人権について考える時間はあまりなかったので、遅まきながら今日考えてみる。
すべての人には人権があって、それをおろそかにしてはいけない。なぜ、そうしてはいけないかという理由の一つには、それがいつ自分の問題となるかがわからないからだ。いつ、自分の自由が奪われてしまうか、身体が不自由になってしまうかなどということ、誰にもわからない。平和な国で、自分の安全が確保された場所にいる人こそ、他者の人権に思いを致す必要がある。それぞれの問題については長い間深い議論がなされているので門外漢がここで発言するのは控えておく。

そこで医療従事者として、医療現場でのことを少し考えてみたい。患者さんと医師の関係性について考えることは人権に直結することだ。
病人とは全くの弱者で、その人の尊厳は守られなくてはならない。病人の人権というものを、医師はどれほど意識しているだろうか、あまり意識していないのではないだろうか。それはある意味仕方のないことなのかもしれない。医師は患者さんの病気そのものの治療ということしかできない技術者に過ぎない。
重篤な疾患である自分を挟んで、数名の医師が自分を無視して話し合う。そんな情景は医療ドラマを見なくてもすぐに眼に浮かぶ。患者さんは自分について、多くの医師が集まってカンファレンスを開いているなどということはほとんど知らない。ちなみに、私がセットアップしたカンファレンスルームに30人余りの医師があつまって、数名の患者さんについての討論をしたことなんて、当の患者さんも想像はつかないだろう。”御意”などということはないが、ディスカッションを通じて出席者の合意を得て、それを治療に反映させる。患者さんの前では配慮が足りない様に見えても、その様な意味では、医師は重篤度に応じて患者さんに対応し、見えないところで努力している。その上で、患者さんの尊厳に配慮した行動が必要となるが、全ての医師にそれを求めることは困難だ。

それは、頭では知っていても、それを実践することはできないからだ。いや、実践していたとしても、程度の差もある。こうなってしまうときりがない。なかなか難しい問題で、簡単に答えは見つかりそうにない。

人はみんな年老い、病気になる

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