こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

二方面との戦いは負ける

2020年04月03日 | 自然災害・事故・感染症
今、多くの病院は二方面との戦いを強いられている。もちろん、一つは新型コロナウイルス感染症(COVID19)からの電撃作戦攻撃で、もう一つが従来の心筋梗塞、脳出血そして癌といった重篤な疾患を有する人たちへの高度医療だ。戦争をするときに手加減をしてはいけない。先の大戦で旧日本軍は日中戦争、太平洋戦争という二方面との戦争を戦い負けた。戦争とはそういうものだ。そして人類はCOVID19との戦争にすべての医療資源を投入したいところだが、もちろんそんなことはできない。とくに人的資源がもともと枯渇気味だった日本で、この状態はかなり厳しい。すでに人が足りない上、収容するためのベッドも足りないということが起こりつつある。もし、いま中高年の人で癌が見つかった、心筋梗塞を起こしたといったところで、病院が深刻な人手不足、医療資材不足を起こしていたらつい1ヶ月前には受けることができていた高度な救命医療を受けることができない可能性がある。医療崩壊とはそういう事態をも含む状況のことだ。

ある研究者による解析では、日本での感染拡大が”なんとか抑えられてきた”のに、欧米で感染が爆発しているのは生活様式などのせいではなくて、欧米ではより感染力の強い亜型(欧州亜型、米国亜種)が存在するからという考えられるとのことだ。そして、そういった感染力の強い亜型を卒業旅行帰りの大学生が持ち込んで拡散させたと。そして、このままのペースで感染拡大が進めば、4月11日頃に危険水準に達するそうで、このラインを超えると爆発的感染拡大(オーバーシュート )のフェーズに突入し、感染者数は増加の一途をたどり、全産業活動が再起不能な形で停止を余儀なくされるということだ。興味のある方はCOVID-19情報( 横浜市立大学データサイエンス学部佐藤彰洋教授のCOVID-19(新型肺炎)の感染拡大抑止に関する研究・検討資料内容を共有するページ)をご覧ください。

さて、今日も一日仕事を終えてやっと帰ることができる。それにしてもまったく調子の出ない一週間だった。私の勤務先の病院にも医者、看護師、検査技師さんとたくさんの新人さんが入ってきたが、気の毒に院長の挨拶とか辞令交付とかないまま仕事が始まった。希望に胸膨らませ、なんてことは全くなく、いよいよ戦争が始まるという緊迫したところにきてしまったのはお気の毒としか言いようがない。病理もCOVID19とは無縁ではなく、その準備もしておかなくてはいけない。

最近、マルチーズのコロがよく散歩に出かける。ナイトが乗り移ったのかと思えるほどで、昨晩は娘を引っ張って駅まで迎えにきてくれびっくりした。とても13歳とは思えない健脚ぶりだ。明日は私も近所の桜の木まで連れて行ってもらおうと思っている。
晴れるといいね

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