夫の一番上の兄夫婦がこの9月に別居→離婚する予定になっている。
その前に何故か兄は3か月のアメリカ旅行に出かけた。
子供2人は親の離婚で心が不安定になっているかもしれないのに、3か月もアメリカ旅行に行ける神経が理解できない私であるが、私の夫ではないので何を言う権利もない。

先週は義兄の下の子の誕生日であったが、嫁は我が息子の誕生日など祝う事などない女であるから義母が、「私がレストランに連れて行ってお祝いする」と提案。
嫁も当然付いて来た。

変な光景である。
もうすぐ家族でなくなる女と義母の会話。
別居した後、今家族で住んでいる家を売りに出す話。
子供達はどんな気持ちで聞いているのだろうかと考える。

夫婦の事は誰にも真相は分からない。
が、私が嫁と付き合ってきた14年間の中で、互いに腹を割って話した内容は1つだけ。
それはホームシックである。
ある年のクリスマス、嫁はクリスマスパーティ中に暗い顔をしていた。
その年、嫁の出身であるオーストラリアの実家では20年ぶりに親戚一同が集まる盛大なクリスマスパーティを開催していた。
本当は行きたかったはずであるが、その半年前に嫁は親友の結婚式で豪州に行ったばかりでお金が出せなかったのと、仕事の休みが取れなかったのである。
今頃自分の家族は親戚が集まって楽しい時間を・・・という思いが嫁を悲しくさせたと私は今でも思っているが、それに同情してやる人は誰一人いなかった。
毎年の正月、私も同じ思いで14年を過ごして来たから嫁の気持ちがよく分かった。

国際結婚をし、異国の地に暮らすに最も辛い事、それは70%が言語の壁、後の30%は突如として襲って来るホームシックである。
気持ちの波を自分なりに沈め暮らさねばならない。
夫は気持ちに寄り添ってはくれるが、本当の葛藤は私しか戦えない。
それでも理解に努めてくれるのとそうでないのとでは大きな差がある。

今回の離婚で、私は義母と夫に「あくまで想像やけど、嫁のホームシックを夫が何処まで理解しフォローしてくれたのか・・私はそれも嫁が夫を軽蔑し始めるキッカケになったのではないか」と言った事がある。
義母から「あなたと嫁とは全く環境が違う。何1つ共通点はない。あなたがこの国に嫁に来た時、あなたの英語は極めて0に近かった。言語理解に苦しみ、それでも人前に出る仕事を選び、自ら厳しい環境に身を置き今の生活を手に入れた。それは全てあなたの忍耐力と努力。だけど嫁はそうではない。豪州から来たから、まず言語の壁がそもそも無い。父親は英国人、食事の変化もほとんどない。簡単に家族に会えないのは事実だけど、あなたのホームシックと訳が違う。友達がすぐに出来た嫁とアナタでは雲泥の差がある。嫁を同じ立場で見ては間違い。これを言うのは、私があなたを傍で見て来て、身を割かれる程に辛い思いをしていても、それを誰も助けてあげる事が出来ない事に私も亡き夫も苦しんだから」だと指摘を受けた。

確かに、今尚私の最大の敵は言語の壁とホームシックである。
しかしホームシックは改善しつつある。
それは自分の仕事が安定して来た事、子供が少し大きくなって来た事もあり、年に1度1人で日本に帰れるようになったからである。
この生きがいは非常に大きい。
耐えれば来年、また皆に会える・・・そう思うとあっという間に時が過ぎる。
しかし、14年住んでも言葉の壁は壁。
巨大な壁が少し低くなっただけで、まだまだ遥かにそびえ立つ壁は無限にどでかい。

ちょっと冷たく聞こえるが、同じ国際結婚であり、外国人の嫁2人であっても、義母から見たら違うという事を知った日である。
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