先日、17歳になる義母の孫が義母宅に来ていた。
去年あたりから、時々1人で電車に乗ってやって来る。
彼の両親、つまり義母の息子夫婦は結婚当初から喧嘩が絶えず今日まで来たが、来月に別居が決定しており、家庭内で居場所がなくなったり息が詰まると義母宅にやってくるようになった。

そんな彼と話していると「日本の高校にもカウンセラーはいるの?」と聞いて来た。
彼の高校(中高一貫)には専属のカウンセラーが在籍し、子供達が自由に利用できるようになっている。
秘密は絶対厳守で、必要があれば医師への診察を促す。

数年前から手の震えが止まらず、今年になって字を書く事が困難になって来たのを教師が確認、彼に「カウンセラーさんに相談してみたら?」と促し、通うようになった。
カウンセラーの勧めで医師の診察も受け、心が安定できるようお薬ももらえたと言っていた。

私は「カウンセラーと話すと気持ちが変わる?」と聞いてみた。
彼は「根本原因は両親だから、変わる事はないよ。僕が彼らから絶縁しない限り、永遠に僕の両親である事は変わりない。それは変えられないから、僕がこれからどう生きていきたいのか、それにはどんな勉強が必要で、どう進めて行くかを共に話し合う人が僕にとってはカウンセラー。本当なら両親とそれが話し合えれば理想だけど、父親は僕に関わらないし、母親は金切り声で怒鳴るだけ。どう答えを見出して良いか分からない時、思いをぶちまけると、その方法を一緒に考えてくれる」と言った。

そうして私が作って行ったチョコレートケーキを完食し「ありがとう。ケーキなんてクリスマス以来」だと笑った。
それも私が作った彼の為のチーズケーキであった。

年頃の子供達がいる場所、それがまさに中高ではないかと思う。
小学生にも勿論、同じ事が言えるが、家庭環境や学校環境で実に様々な悩みを抱えていると思うと、生徒が1000人近いの大型校にたった1人であっても、カウンセラーにしか話せない子供達は確実に存在すると彼の話を聞いていて思った。

義母は我が孫の心の不安定に心を痛めている。
がしかし、その原因が自分の息子ではなく、100%嫁のせいだと信じている所がやはり母親なのだろうか。
17歳の彼に義母は「私で良かったら何でも話しなさい」と言うが、彼は私に「おばあちゃんは所詮、僕の父親の母親。だから我が息子に非は無いと思っている。だから僕は絶対に本当の気持ちは話さない」と言った。

私が17歳の頃、全ては友達によって支配されていたと言っても過言ではない年頃であった。
悩みは友達と共有し、しかしその悩みはあくまで友達関係や恋の話であった。
家庭環境から逃れたくても逃れられない、そんな深い悩みを持たなかった私が彼に「私で良ければ話して」と言う言葉さえ軽くなる過ぎる気がして言えなかった。
結局、私は何も出来ないから、彼が来た時にケーキを持って行くだけなのである。
もっと彼に向き合えたならと思うが、しかしそんな彼の現状を知っていながらも、父親はウカレポンチでアメリカに3か月も旅行に行くメデタイ男である。

「学校のカウンセラーが解決するんちゃう?それが仕事やねんから」とウカレ男から丸投げの言葉を耳にするとき、カウンセラーの存在が子供を助け、保護者がそれに丸投げする矛盾したものを生むのかと思うと、何とも腹立たしい気がした。
彼の言った「本当なら両親と話合えれば理想」という言葉が、私にはあまりに痛かった。
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