義母の手料理を食べる日が年1度だけある。
それはクリスマスである。
義母はクリスマスに食べる肉料理とローストポテトだけは自分でちゃんと作る。
後の野菜は全てM&Sというイギリスのおばちゃん御用達スーパーでチンして出来るやつを買うが、肉だけは自分で肉屋に行って予約し、ちゃんと自分で取りに行って前日から用意する。
私は毎年クリスマスイブは夕方5時まで仕事、帰宅してケンタッキー・フライド・チキンを食べ、子供が寝たらクリスマス用のデザート3品を作るのは毎年の恒例となっている。

年1度しか義母の手料理を食べないが、やはり長年作って来ただけあり、ローストポークとラム肉は焼くのが上手だと思う。

先週から義母宅に庭師のおっちゃんが来ている。
わざわざマンチェスター郊外から1週間ほど泊まり込みで庭の色々と義母宅の片付けなどをしに来てくれるのであるが、おっちゃんが来ている間は義母の事をしなくて良いので助かる。
いつもなら夫が仕事帰りしなければならないが、義母の犬の散歩もおっちゃんが行ってくれるし、買い物も銀行も一緒に行ってくれる。
なにより夜、義母の見るドラマさえ一緒に見て付き合ってくれるから義母はおっちゃんが来るのが楽しみで、いつもおっちゃんが来る前日に美容院とネイルサロンにきちんと行くところをみると、やはり少しの恋心もあるのかなと思う。
驚くのは、あの朝起きない義母が朝ちゃんと起床している事、そして朝昼晩とご飯を作る事である。

2日前、義母がタッパーに何かを入れ突然うちに来た。
「シチュー作ったから、息子に食べさせて」と言い帰って行った。
見ると本当に一人前だけ入ったシチューで、分かりやすく見た目を言うならルーを入れる前の状態を完全に水を飛ばして火を止めた状態の肉&野菜の水煮込みと想像して頂きたい。

私はイギリスに来て最もキツかった食事が義母の作ったシチューであるため、以来絶対に食べない。(詳しくは過去記事参照されたし)
そもそも、シチューを作ったというのを聞いたのも14年ぶりである。
今朝は夫の弁当を作る際、私の手作りフォカッチャのサンドイッチに義母の手作りシチューを入れて持たせた。

昼1時前、いつもなら絶対に送られて来る事の無いメールが夫から来た。
夫「あれシチュー?」
私「あんたのオカンが作ったやつや」
夫「分かった」
メールはそれで終了した。

夫にとって、あの無味無臭の肉野菜煮込みは懐かしい味として美味しいのだろうか・・
夫は17歳で大学に入った為、それまでの17年間に何度も食べて来た味に違いないが、今の暮らしで私の味になれており、あの無味無臭はどう思うのだろうか。
いつも、この不思議な味覚を持つイギリス人義母の料理に触れ、夫の味覚を考える。
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