映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ソ連崩壊で取り残された宇宙飛行士と無線愛好家のキューバ人との交流を描いたヒューマンコメディー「セルジオ＆セルゲイ 宇宙からハロー！」です。
今回の作品は、中南米のインディペンデント映画祭で絶賛されたキューバ産の映画です。モデルとなったセルゲイは、東西冷戦後のソ連解体の動乱の中で宇宙船に取り残され、後にアメリカのスぺースシャトルによって帰還され崩壊後のロシアに帰還した実話を、キューバ人との交流を加えてファンタジックに展開しています。
舞台は、ベルリンの壁崩壊によるソ連の社会主義危機の中で、後ろ盾を失ない経済危機に陥っているキューバ。エリート学者のセルジオは、情報統制がかかるキューバでニューヨークの無線仲間から情報を得て、生活のための術を探っている、そんな中で、ソ連飛行士のセルゲイの通信を傍受、二人の間に友情が芽生えていきます。帰還が進まずあいまいな返答をする母国に不安を抱いたセルゲイは、セルジオに家族への思いを伝え、セルジオは、NYの無線仲間と共に、アメリカを介した宇宙からの帰還計画を実行する。
まず驚いたのは、社会主義国のキューバでこのような作品が作られたこと。アメリカと敵対関係やソ連崩壊など経済危機を乗り越え独自の路線を引いているキューバならではの自由な発想に感嘆しました。オバマ政権で実現したアメリカとキューバの経済交流でしたが、トランプ政権で凍結した状態に。キューバ政変による国を失った旧政権支持のキューバ人が多くアメリカにいる実情を加味しても、キューバは新しい社会主義を模索しているように感じます。
スポーツや教育、文化に独自性を持った魅力的な国キューバ。これからも、映画産業においても個性を発揮していくでしょう。改めてキューバは魅力に満ちている。
