映画『それでもボクはやってない』 | キムチの備忘録♪

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先日WOWOWで視聴した映画です映画

 

☆解説&あらすじ☆

ある日身に覚えのない痴漢容疑で逮捕・起訴された青年の裁判を通して、日本の刑事裁判制度のあり方を痛烈に問い直した、周防正行監督の会心の社会派エンターテインメント。

 

朝の通勤・通学ラッシュの電車内で、近くに乗り合わせた女子中学生から身に覚えのない痴漢行為をとがめられ、現行犯として逮捕されたフリーターの金子徹平。清廉潔白であることを確信する彼は、警察署や検察庁での取り調べでも一貫して無罪を主張するが、誰もその声に耳を傾けようとはせず、ついに徹平は起訴される。そして、ベテラン弁護士の荒川、新米弁護士の須藤が彼の弁護に当たる中、法廷の場での困難な闘いが始まる。

WOWOW解説ページより)

 

 

 

いつか観たいと思っていた有名作品。超今更ですが、観ました!

電車内で痴漢の容疑をかけられた主人公が無罪を証明すべく裁判で争うお話。

誰にでも起こりうる事件がものすごくリアリティを持って描かれていたと思います。

 

主人公は物的証拠が無く被害者証言のみで拘留され、痴漢したと決めつけてかかる刑事に取り調べられ、最初に接見した弁護士からは示談を勧められ、検察官はまともに話を聞いてもくれず起訴。

裁判官は裁判中に居眠りする始末…

でもこれがリアルなのかも、と思うと理不尽だ~~~!と叫びたくなりました。

 

そしてキャストが凄い。

実力派の方々ばかりだし、配役がバッチリで見応えがありました!

まず痴漢に間違われる主人公を演じる加瀬亮さんですが、気弱で真面目そうでどこにでもいる青年って雰囲気がピッタリ。どんなに無罪だと主張しようとも耳を貸さない国家権力はただ起訴された事件を有罪にするために淡々と仕事をこなす、その現実に打ちのめされ希望の光が消えていく絶望感を繊細に表現されていたと思います。

弁護士役の役所広司さんと瀬戸朝香さんのコンビも良かったし、母親役のもたいまさこさん、友人役の山本耕史さん、同じく痴漢冤罪で戦っている光石研さん、検事役の尾美としのりさん、裁判官役の正名僕蔵さんに小日向文世さん…その他ちょい役にも名バイプレーヤーがたくさん出てきて非常に贅沢な顔ぶれでした。

 

裁判シーンはなかなか良かった。

実際に何度か裁判を見たことがありますが、やりとりとか進行などが現実的な感じがしました。多少は白熱した場面もありましたが、他ドラマなどでよく目にする誇張しすぎた裁判シーンではなかったのでリアリティがあったと思います。

 

そして痴漢冤罪について改めて考えさせられました。

やったことよりもやっていないことの証明の難しさとか。人の記憶の曖昧さと先入観でものを考えてしまうことの恐ろしさ、とか。

視聴者の立場としては被告人がやっていないと分かっているので、権力側の決めつけてかかる態度とか被害者の曖昧な物言いとかに腹を立ててしまう訳です。でも実際こういった事件に遭遇した場合100%はっきりと自分が正しいと言えるか、と考えたら言えないと思うし…。

 

ただ、よく痴漢冤罪事件に対する意見で被害者の証言が罪なき人を犯罪者にしたら、それは被害者にも責任があるという人がいますが、私はその考えには反対です。

それを言うなら痴漢被害に遭った人は泣き寝入りせざるを得なくなってしまいますし、実際に被害を訴えることは凄く勇気が要ることなのです。

だから、もし痴漢事件が発生したら徹底的に証拠を見つけるべきだし、見つからなかったときは無罪にならなければいけない。

物的証拠が無いからこそより慎重に裁判を進めなくてはいけない。有罪を前提に裁判を進める司法の姿勢が疑問視されなければならないと思います。

 

最後もハッピーエンドで終わらないところがまたリアル。

色々考えさせられることが詰まっていた映画で、裁判というものについても身近に感じられる内容だったと思います。

世代性別問わず、多くの人に観て欲しい作品です。