ランチ食べてたんですけどね、
私の両隣の女性がさ、
『地獄』って辛さの中華を食べてた。
普通 大辛 激辛……
みたいなランクの最上位として存在していた、地獄って辛さのメニューを注文していた。
麻婆豆腐に見えたけど、私の知ってる麻婆豆腐より赤黒かったので、違うメニューかもしれない。
私はさ、
辛いの全然ダメなので、信じられなかった。
地獄なんて辛さの食べ物、注文する気になれない。
両隣にメニューが運ばれてきた時、香辛料の臭いで、私はムセた。
隣の席の私がムセた。
あれ、ホントに食べるの?
食べ物なの?
『辛さ20倍カレー!』みたいなチャレンジメニューは男性の方が注文するらしいんですけど、日常的に辛いものを食べる場合、女性の方が辛さに強い、みたいな話を聞いたことがあります。
確かに、両隣の女性は、チャレンジ!っていうよりは、日常、って顔で地獄の辛さを食べてた。
いやー信じられないですよ。
だって、『地獄』ですよ?
激辛!とかじゃなくて、地獄、だから。
たぶん、一回地獄に行ったことのある料理人が、
「こんな感じでしたよ?地獄。」
って顔で出してくるんだと思う。
地獄ってそういうことじゃないの??
カラさとツラさを混同するような味に仕上がってるんだと思う。
地獄ってそういうことじゃないの?
鬼に金棒でぶん殴られたような味じゃないの?
あれを日常って顔して食べるって相当だと思う。
たぶん、ツラいと思うんですよ。
そんなカラさの食べ物食べたら、ちょっとした怪我とか火傷する気がするし、無事じゃ済まない気がする。
食べ物より毒よりだと思う。
私だったら、
「ごめんなさい……もうしません!もうしません!もうしません!」
って泣くと思う。
何か反省し、何に謝ると思う。
本当に地獄を体験した感じになると思う。
でも、そんな素振り、一切見えない。
涼しい顔で食べてる。
どんな感情で食べてるんだろ。あれは。
「懐かし~。」
みたいな感じかもしれない。
両隣の女性も地獄に行ったことあって、それを思い出してノスタルジーを感じてるのかもしれない。
「そうそうこれこれ~。」
って感じかもしれない。
郷愁。
一回死なないと行けないと思うんだけどなー。地獄。
死なずに行く方法があるのか、生き返る方法があるのか。
別に悪いことしなくても、
地獄体験ツアーみたいなものがあるのかもしれない。
そういうはとバスが出てるのかもしれない。
教育的にも効果がありそうだしね。
悪いことすると、ここに行くことになるぞ、っていう。
そのツアーのランチで出てくる麻婆豆腐の味に似ている。
そういう解釈をしないと、あの辛さを平然と食べられる理由が分からない。
私は、全く辛くない炒飯を食べた。
ホント、声かけてみたくなった。
両隣の女性に、声をかけてみたくなった。
「一度、地獄を見たことあるんですか?」
そして、女性は言う。
「そうね。
あの頃はまだ若かったから、目の前のものがこの世の全てだと思っていたと思う……」
物凄い重い失恋話を聞くことになる。
◆人気ブログランキング に参加してます。
↓シリアスなBGMが流れると思う。