前にちょっと書いたんですけど、引っ越しした家のトイレの水がさ、なかなか貯まらないんですよね。
一度水を流した後、タンクに水が貯まりきるのにすごい時間がかかるんです。


私、家でも音消しで最初に水を流すし、うんこの時は臭いの話もあるから、とりあえず早い段階で一回水を流す。
そういうスタイルで生きてる。



で、一度流した後、タンクに水が貯まらないから、しばらく待機時間が発生する。

こう、じっとトイレで待つ時間が出来る。
私の人生に、トイレで水が貯まる時間を待つ時間が発生する。




どう考えてもおかしいんですよ。
ホント、ドモホルンリンクルみたいな量の水しか流れないんだから。


何なの?前住んでた人はどうしてたの?
うんこしないの?アイドルなの?








……え?そうなの?





というわけで、管理会社に電話しました。
「トイレの水がタンクに貯まらないんですけど。」

「あ!すみません!トイレの止水栓をマイナスドライバーで開けてください!」
そう、私は言われた。




実は、電話をかける前に私は調べていた。
すぐには電話せず、とりあえず自分で何とか出来ないか調べていた。


トイレには、止水栓がある。



これを捻れば、水量を調節出来るらしい。
勝手にやってもいいらしい。

で、実際やってみた。
マイナスドライバーを取り出して、回してみた。



が、ビクともしない。
フルパワーでやっても、ビクともしない。

回せそうな場所は2箇所あって、
片方を回すと変なところから水が漏れ出すし(ヘコんだ)、もう片方は全く回らない。
全くだ。

全く回る気配がない。
鉄にパンチしても凹む気配がないように、何も手応えがない。

それを試したうえで、私は電話していた。





管理会社の人は言う。

「マイナスドライバーで開けてください!」



試行錯誤した後の私は、その指示に質問を投げた。

「思いっきり力入れていいですか?」








「え。いいですけど。」





なるほどね。
本気出していいのね。

なるほどなるほど。

私の真の実力を解放する時が来たようだ。

もうどうなっても知らんぞ。
こうなってしまったら 前ほど優しくはないぞ。










…………そして私は、100均に新たな道具を買いに行った。

いやー道具が悪いんでしょ。これは。
良い道具があれば、何とかなるでしょ。


で、この2つを買った。



狭い場所でも回しやすそうなドライバーと、奥の手モンキーレンチ。

マイナスドライバーとモンキーレンチを組み合わせることで、どんなに固いネジでも回せるようになるらしい。



合成武器の完成である。




でもダメ!何で!?
呼吸をコントロールすることで、通常の3倍のパワーを出せる奥義を使ったのに、全くネジが回らない。

これ、ネジじゃなくて、上手なネジの絵ってことはないの?
騙し絵を回そうとしてない?私。

そもそも、ネジって言ってるけど、まぁ、これは実際はネジっていうか止水栓そのものだから、それがマズいの?




何度もチャレンジしたけど、
本当に無理で。
悲しいくらい無理で。
この世は何で争いがなくならないんだろうって思いながら、再度、管理会社に電話しました。


「私の力じゃ無理でした。」


こんな情けない話があるかね?
力が足りないって電話する男の気持ち、分かる人いるかい?

慰めてくれよ。








数日後、
水道工事の人が来てくれました。
ガチの工事の人が来てくれた。

そして、特殊な工具を使って止水栓を開けてくれた。
あんまり見てないけど、たぶん、超特殊な工具と特殊な技能と、時間をかけてネジを回してくれた。



その結果がこれです。



ちなみに、修理前がこちら。


これはさ、もう、別物じゃん。
止水栓の数が違うもん。

部品交換が発生してるもん。
そもそも私の力じゃ出来なかったヤツじゃん。


どういうことか、っていうと、交換前のヤツにゴミが詰まってたらしいです。
何で?

よく分からないけど、ゴミが詰まっていたらしい。
そりゃ、水が出ないわけだ。


でも、前の人はどうしてたんだろう。
ゴミを詰めて出ていったのか、それともうんこしない人なのか。

工事の人に聞いたら、
「たぶんウォシュレット使っていて、詰まってない方の分岐栓から水を取ってたんだと思います。」

なるほど。そういうこともあるのか。
変なとこから水が出たけど、そっちから水を取ってたのか。







ということは、アイドルじゃなかったんだ。
前に住んでたの。







…………それは少し残念なんだけど。

ねぇ。

まぁ、直ってよかった。
 

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