カップルが普通に夫婦生活を2年以上続けていて、妊娠しないことを不妊と言います。
不妊は今や、社会問題になっています。
カップルの7組に1組が不妊に悩んでいると言われます。
不妊を解決するのに役立ってくれるのが、産婦人科で行っている不妊治療です。
不妊治療は、男女双方で進められます。
そこで原因を調べ、それぞれの状態にあった治療が開始されます。
不妊の原因は女性だけではなく、男性側にあることも多いです。
たとえば、無精子症です。不妊治療では、男性側の治療として、精液検査が行われます。
ここで男性が無精子症かどうかを判断できます。
無精子症となれば、精子がないため、妊娠するのは非常に難しくなります。
男性の100人に1人が無精子症と言われています。
このうち7割が、より重い「非閉塞無精子症」とされます。
せっかく結婚したのに、夫が無精子症と診断されたら悲しいですよね。
しかし、まだあきらめるには早いです。
もしも夫が、「円形精子細胞」を持っていれば、出産できるチャンスはあるのです。
「円形精子細胞」は、精子の前段階の細胞です。
男性の3割が持つと言われます。
そして、日本で初めて、無精子症の患者からの出産に成功した事例が2013年5月10日、発表されました。
北九州市のセントマザー産婦人科医院(田中温院長)の発表です。
国内初の出産例として、札幌市の日本婦人科学会にも発表されました。
円形精子細胞患者による出産例は、1996年にフランスで世界初の事例が報告されています。
しかしその後失敗が続き、普及することはありませんでした。
北九州市のセントマザー産婦人科医院では、卵子に電気による刺激を与え、成功率を上昇させました。
2011年9月以降、のべ856回実施し、80人が出産を成功させています。
出産率は11.6%です。
これまで、無精子症の男性が妊娠することは不可能だと言われていました。
しかし、この治療が進めば、無精子症であっても、自分の子供を持つことができます。
しかも、日本人の患者で成功させたというのが大きいですね。
より、日本人に親和性の高い治療法と言えます。
不妊は男女両方の問題。
とはいえ、不妊について言われるとき、どうしても女性のほうに議論の重きが置かれています。
女性の高齢化により、妊娠しにくくなっていると言われています。
だから、早めに結婚、出産について考えよう、という論調になりがちです。
でもその一方で、「もしもパートナーが無精子症だったら、どんなに早く結婚しても、妊娠できないかも」という疑問はおきざりにされていたりします。
このように、女性にとってどうにもならない「無精子症」という壁を打ち砕いてくれたこのニュースは、女性の出産にまつわる不安を軽減してくれるはずです。
不妊に悩むカップルは多いですが、このように、どんどん技術が進歩して、「赤ちゃんを産みたい」という女性の願いがもっと、叶えられやすくなると良いですね!