山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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アメーバブログにて超短編小説を発表しています。
「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

自作の超短編小説を公開しております。
目次です。※作品数が増えてきたので十作ずつに分けました。
  ↓
目次(超短編小説)

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 道端で二人の老人達が世間話をしていた。


  「そういえば、最近、海までの路線が新しく開通したらしいですね。あなたはその列車に乗りましたか?」 


  「この街の駅から海まで行く路線ですか?」 


  「ええ。そうですよ。鉄道会社が新しい路線を敷く計画を立てているらしいという噂が何十年も前からあったでしょう?知らなかったですか?」


  「海はほとんど世界の果てのように遠いでしょう?そのような遠い場所に用事がある人間がこの街にいるのですかね?私は生まれてから一度も海を見た経験がありませんよ。この街の住人達は海になど行かなくても生きていけるのです」


  「あなたはその列車に乗ってみたくないのですか?海を見たくないのですか?」 


  「列車には乗った経験がありますから乗りたいですけど、海は見た経験がありません。だから、海を見たいとは思わないですよ。一度でも見たら再び見たいという欲が湧いてくるかもしれませんし、今まで海を見なかった人生の価値が低下したと感じるかもしれません。その動揺が気に入りませんよ」