蛇飴 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 「これは蛇飴だよ」と公園で友人が言った。友人は飴が包まれているらしい紙の塊をこちらに差し出してきていた。

 「蛇飴だって?蛇みたいに長いのか?」と私は訊いた。

 「長くないよ。舐めてみればわかるよ」と友人は言った。

 受け取って包装紙を開けると蛇の頭を象った飴が出てきた。気味が悪いと思ったが、臆病だと侮られたくないので私はそれを口に入れ、どのような味なのだろうかと思いながら舌の上で転がしてみた。飴にしては随分と辛くて舌が痺れるように感じたので私は顔をしかめた。

 「辛いね」と私は感想を言った。その拍子に舌が唇の隙間から出てきた。自分の意志に対応した動きではないので私は戸惑った。しかも、自分の舌が随分と長細くなったようだと感じられたので驚きがさらに強まった。そして、その舌が私の意志を無視しながら何度も唇の隙間から出てきたのだった。

 「舌が蛇みたいに細長くなったように感じているだろう?」と友人がにやにやとした笑みを浮かべながら訊いてきた。

 返事をしようと思ったが、舌が勝手に動くので言葉にならなかった。声も出なかった。


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