皺がない宇宙人 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 道端で知り合いの宇宙人と偶然再会した。「やあ。こんにちは。随分と久し振りですね」と私は宇宙人に声を掛けた。

 「ああ。誰かと思えばあなたでしたか。ええ。確かに久し振りですね。二十年振りですかね?」と宇宙人は淡々とした調子で言った。

 「そうですね。もう二十年程度は会っていませんでしたね。それにしても、私は歳を取って皺が増えましたが、あなたは何も変わっていないようですね。ひょっとして、あなたは老いないのですか?」と私は宇宙人の姿が昔とまったく変わっていないという事実に驚きながら訊いた。

 「私も老化はしているのですよ。しかし、体力の衰えが外見に表れないのです」と宇宙人は答えた。その顔面には体力の衰えどころか、感情さえも表していなかった。

 「そうだったのですか。体力の衰えという弱みを隠せているのですね。羨ましいです」と私は率直な感想を口に出した。

 「それがそうでもないのですよ。体力の衰えを他者に察知されないので病気などで弱っている時でも心配されませんからね」と宇宙人は言った。


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