◇オスの匂いの立ち込める本 「心が雨漏りする日には」◇
夥しい本で敷き詰められた書店の棚。
なぜか一冊のタイトルに、 ふーーと引き寄せられ、何の本かも確かめずにレジへ。
家でじっくり見ると、中島らも氏の本だった。
名前は知ってるが、ずい分前に唐突に死んじゃった人。
初めて手に取った彼の本は、躁鬱病とのデタラメな共生エッセイ。
ページをめくり始めると、しまった・・・ トンデモナイ本を買っちまった、、と後悔。
三年前、
母のアルツハイマーと躁鬱が合体、
その特殊な症状に専門医すらお手上げに。
どうしょうもない孤独と焦りが娘のワタシを孤立させた。
だから、 躁鬱には、二度と関わりたくない。。という想いがあった。
だが、 らも氏の筆圧とういうか、潔く晒された壊れっぷりに圧倒された。
躁や鬱は薬で治るとされている。
が、
そうじゃない特殊なケースは、
樹海のように行けども行けども出口が見つからない。
らも氏の場合は特殊なケースで、てんこ盛りの矛盾だらけ。
専門医の指導と入院治療する真っ当な見識を持ちながら、
隙あらば、
身体をお酒で満たすことを選ぶ強烈なアルコール依存症。
この二つをミックスすると、 アルコールで丼一杯の薬を流し込む、、という異常が日常になった。
小説やエッセイを書き、
DJやバンド、
そして自分の劇団で興行を打つ。
過剰なくらい自分を追い込むことで、
鬱を抑えたと思えば、
ハイテンションの躁に操られ、暴走をし尽くす。
普通の人では持ちこたえられない躁鬱の乱気流の中、
過剰摂取の薬と連続飲酒でガンガン仕事をこなしていく。
まるでオスの本能の赴くまま、、という感じ。
だが、らも氏の暴走の行く手には、
躁鬱の大きな洞穴が待っていた・・・
◇オスを失う時、、◇
らも氏はワーカホリックになっていた。
お酒をガソリンにして、仕事をする。
しかも眠らない。
でも死なない。
が、
その代償として、オスを失ってしまう。
失禁、 下痢が止まらず、おむつをして出かけるとか、
男性機能の不能 歩行のふらつき
転倒
意識の混濁
そして
ナルコレプシー
(コントロール不能の突然の強い眠気で昏倒する)
視力障害で字を書くことも、読むことも出来なくなった。
凡人ならココで挫折するが、
コレがダメなら、アレがあったを思いつく。。
らも氏が語り、妻が筆記というスタイルで、次々と本を出した。
52歳の突然の死まで。
躁鬱の一切合切をドーーーーンと綴った「心が雨漏りする日には」は、
反響が予想以上に大きかった。
樹海で彷徨う患者の深い孤独感に、響いたというより、
寄り添ったのかもしれない。
らも氏は オスとして、
どこまでも無茶なオスであり、スゴク優しい。
小豆相場のようにデンジャラスなのに、
懐に深く沁みる優しさを持つ人だから、
支えられる人たちに恵まれたのだと思えた。
そして
無茶苦茶なエッセイの中に散らばる鬱病へのあったかい手は、
こうだった。
◇あったかい手 ◇
1 薬は凄い!薬を飲めば、治る。
2 ナニカに依存してもイイじゃないか。。
3 時間に圧し潰されないこと。
4 結論の先送りをする。
これは、 躁になると自殺する元気が出てくるための防衛策。
「 明日になってから考えよう。。」
時間の先送りという思考が、抑止力になる。
5 保健所の精神保健相談に行け!
全ての精神科医がオールマイティではない。
躁鬱のケースによって、得意とする医師を探してもらう。
この本を読み終わって、不思議な安息があった。 内容は乱気流なのに、癒される。 多分、ワタシだけじゃないと思う。
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彼は短い一生だったけど、よく頑張って生きた
と言う印象を持っています。。。
私も鬱を経験したものでして・・・・
精神的な病は心がズタズタになります・・・・
それ以来、私の愛読書は「ユング」です。。。
熱量の凄まじい人は
お目にかかったことないです。。
言葉の力で読み切ってしまいました、、
鬱は
徹底的に自分を苛む苦しさがあり
出口がない
中島らも氏の壮絶な共存は
前代未聞の偉業に近い、、と思えました
kiyasumeさん
コメントありがとう<(_ _)>