Salsa する?

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19歳の欠片。。伊坂幸太郎「砂漠」&「AX」

2018-07-10 10:15:21 | 


◇伊坂幸太郎の本に泣いた、、「AXアックス」◇

本屋の前を素通りしようとしたら、目ん玉だけが90度動いた。
私の黒目が捉えたのは、本屋大賞ノミネートの結果発表の本たち。
そこだけ目立つように黒い棚が置かれ、
1位~10位まで、通信簿のように並ばされていた。

今月はハードカバーは買わない、、と決めていたのに、
指は勝手にページをめくり、黒目はとっとと読み始めた。
十冊の中で5位、しかも欲のなさそうなタイトルの「AX」という本を手にしていた。

主人公 兜(かぶと)は、
表の顔は文具メーカーの営業で、家族の知らない裏の顔は凄腕の殺し屋。
文具メーカー=人畜無害と殺し屋稼業の顔を持つ恐妻家。
なんだか、読まずにいられなかった。
その時点では、
恐妻家という布石が、この物語にもたらす威力など想像出来なかった。。

読み進めると、期待は少しづつ萎み始め、
「必殺仕事人」の婿殿/中村主水の現代版。。と思えた。

兜は最強の殺し屋なのに、
家では、妻の顔色を読み、遠慮しながら暮らす夫なのだ。
妻の小言や傍若無人な態度にニコニコしながら無抵抗。
そんな父親を不憫に思い、助け船を出す思春期の長男。
傍から見ると、兜の家での存在は気の毒・・・の一言に尽きた。

そんな彼の若い頃は、
天涯孤独、人を信じれず、泥沼の裏街道を汚れるまま生きてきた。
彼の運命は、通りすがりの一人の若い女性の一言で大きく変わった。
それが、妻との最初の出会いだった。
この物語の最後の行間が発していたのは、
彼にとって、妻は宝物以外の何物でもない・・・と予想外な終りだった。
だが読後感は、
胸の中があったかくなるような充足感だった。
人生はトントンってのも、悪くないなぁ・・・と。
それが、「AX」の最後の章の最後のページだった。

そして
私がウサギのような目で読み終えた瞬間、
こんな結末とあったかさを書ける伊坂幸太郎という作家に、猛烈な好奇心が湧いた。


◇伊坂幸太郎「砂漠」◇

実は、
名前は知っていたが、偉いじっちゃんが書いてると思い込んでいた。
顔を拝むと、暗い坊ちゃんみたいな人で、ビックリ、、

ネットで伊坂幸太郎オススメを検索すると、「砂漠」が出てきた。
またまた私の好奇心をそそらないタイトルだった。。

岩手から仙台の大学へ入学した主人公北村と
横浜から来たスーパーサラリーマンを目指す鳥井に、
千葉から来た熱い奇人の西嶋。
横浜から来たプチ超能力を特技とする女子の南、
仙台在住、大学で一番のウルトラ美人の鉄仮面女子の東堂。
男子3人女子2人の学生生活4年間の物語が始る。

新入生コンパで知り合い、5人は麻雀仲間となる。
てんでバラバラの5人が立っているのは、目印のない砂漠のような大学生活。
読み進めていくうちに、「砂漠」を歩き出した19歳の自分を思い出した。
あの時の出会いや言葉、みんな棒きれのように細く、エネルギーに溢れ、
誰にへつらうことなく、存在自体がピカピカしてた。

好きな人を追いかけたり、未来を信じコツコツ勉学に励んだり、
バイトに精を出したり、遊ぶことを満喫しようとしたり。。
そして
同じ19歳でも、親の財力や育った環境で、こんなにもお互いが違うことを知った。
今思えば、
勉強した内容はほぼ朧気だし、感動するような言葉を放った教授もいなかった。
括られた4年間という時間の中で得たものは、友人との絆だった。

だからか「砂漠」は読み始めた時から、物凄く楽しかった。
西嶋は、砂漠に立っている北村、鳥井、南、東堂にはオアシスのような存在。
癒されるとかじゃなく、精神的な強さではないかと思う。
多分、この本を読んだほとんどの人は、熱い奇人<西嶋>に惹かれたはずだ。

人からバカにされたり、からかわれても、有言実行で常に堂々としている。
困った人だ、、と思うのは最初だけで、
徐々に自分が失いつつあるものが、何であるかが西嶋を見ていると分かった。

西嶋曰く
『目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。
歴史なんて糞食らえですよ。
目の前の危機を救えばいいじゃないですか。
今、目の前で泣いてる人を救えない人間がね、世界を救えるわけがないんですよ。』


今、自分は大学時代から、遠い遠い介護という場所に来ている。
時を経ても、同じような局面に出会うのだと分かる。

逃げるための理屈はこねてはいけない、、と


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