「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る・・・「どこまでもヴァイナル中毒!」(第29回)《King of Rock ! なアコギとS&G編》

2020-07-09 11:07:23 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more

読者諸賢、ハウリンメガネである。

雨がえらいことになっているが、大丈夫だろうか?

筆者の知己は幸いなことに被害には合っていないようだが、季節はまだ梅雨。
今後、どの程度の水害が起きるか予断は許されない。

少しでも危険を感じたら即座に避難するよう、どうか気をつけてほしい。

いや、まったく、呑気にコラムなんか書いてる場合ではないのかもしれないが、
それでも誰かの気晴らしになることを祈りつつ、今回も筆を執らせていただく次第である。

それは4月末のことである。当ブログ編集長のMash氏からメールが届いた。

「アコギ買わない?」

なんだなんだ、藪から棒に。

「フクシマンがギターを始めるから
手持ちの初心者向けギターをどれにしようか選んでてさ。その中に初心者には向かないけど、いい感じのやつがあったんだよ。キミ、普通のアコギ持ってないだろ?」

むむっ、確かにその通り。

実は筆者の手元には一般的なアコースティックギターがない。

あるのは以前紹介した「ナショナル・スタイルO(メタルボディのリゾネイター)」と、
青春時代に某ライブハウスのマネージャーMさん(不義理してるがお元気だろうか……)から頂いた「アプローズ(オベーションの下位ブランド)製エレアコ(マトリックス)」だけ。

この「マトリックス」、筆者の押弦スタイル弾き語りでのメインギターで、
ボディは「オベーション」譲りの樹脂サイド&バックにウッドトップ、
ネックがフレット一体型のアルミ製という結構珍品な仕様。

思い出だらけのギターで、俺が死んだらこいつだけは一緒に葬ってくれ、
と思っている大事なギターなのだが、これまでの酷使により、フレットがかなりキているにも関わらず、
先述の通り、ネックとフレットが一体の為、フレット交換ができず
(ネックを差し替える必要があるのだが、こいつに合う状態のいいネックなんざそうそうないのだ)
ちょうど困っていたところだったのだ。

「音は保証する!使ってみてよ!」

というわけで、実はフクシマン氏と同時期に
筆者の下にもギターが来ていたのである。

それが、写真の
「ELVIS(ヘッドロゴのSが音符になってるのがお洒落♪ F130」!
70年代、ダイワ楽器製、低価格ラインのジャパンヴィンテージである

(なお、ダイワ楽器はあくまで販売元らしく、製造はスズキ楽器の模様。
ちょっと調べてはみたが木曽スズキなのか、名古屋スズキなのかまでは不明。
しかしよくこんな「王様的ブランド名」付けたな・・・。
それだけ気合の入った製品だったのかな?)

この時代の日本製ギターは初心者向けといえど、
しっかりした作りのものが多く、確かに侮れない音のものが結構ある。

筆者が時おり演奏させてもらっている大阪の某たこ焼き屋に
「キャッツアイ(東海楽器)」のドレッドノートが一本転がってるのだが、
これもマーティン的な音の上、アホほど鳴る。

こういうギターがちゃんと市場に残っていればいいのだが、
如何せん当時の低価格ラインだったせいか、
まともな状態で残っている個体は少ない
(リサイクル屋でズタボロのジャンク品になっている個体を見る・・・。もったいない)

ドレッドノートというには小ぶりだが、
フォークサイズと呼ぶにはちとデカいこいつをハードケースから引っ張り出し、
ネックを握った瞬間、口から言葉が漏れた。

「ネック太っ!」

俗にいう「丸太ネック」とまではいかないまでも、太い!
まあ、ギター弾きならすぐに馴染む程度の太さだが・・・

確かに初心者に渡すには太い!
(フクシマンさん、こっちじゃなくて正解です)。

「そして軽っ!」

そう、普段鉄板ボディやらアルミネックやらをメインに使っている身としては、
真っ当なアコギの軽さがやけに軽く感じるのである
(ホントに重いんだよ、鉄板って!苦笑)。

さてどんなもんかね……
つらつらとつま弾いてみる。

うん、マーティンのようにきらびやかな音ではない。

どことなく無骨でウッディなトーン。ポコポコとしたアタックが小気味よい。

フィンガーで弾いた時の朴訥な音色はエピフォンっぽい気もするが、
ストロークした時のニュアンスはまたちょっと違う。

う〜ん?これに近い音のメーカーがあったような……

「ありゃ?ちょっと強く弾くとチューニングがズレるな。

ペグはしっかりしている……
弦が新しいからかしらん?」
と、弦を引っ張るが安定しない。

「弦高が高いせいか?」と、ブリッジサドルを外してみると、

むっ!底側がエッジィ!これが原因か!

ストラトキャスターのブリッジじゃねえんだからフローティングはせんでええねん!
(ギタリストジョークです)

「調整は自分でやります!」とMash氏に宣言した手前

翌日「新品のサドル」と「ブリッジピン」を購入し、ゴリゴリとヤスリで調整!
(アコギのブリッジ周りは超アナログ)。

アコギはセッティングが音にダイレクトに反映される為、
「削っては試し、削っては試し……」
ついでに弦高も元より下げ、弦も太い物に交換。
音が変わっちゃ元も子もないが、さあ、どうだ……

「おお!いいぞ、いいぞ!」
元の音のニュアンスのまま安定した!

ここで、ひとこと・・・
有る程度の年月、ギターを弾いて来た人なら、
ギターは「ご自分で調整するコト」をオススメしたい!

なぜなら、自分のプレイが出来ている分、
「自分色に染める」にはコレしかない!
これこそ、私がギター屋でもあるMash氏に
「クリーニングと弦交換」
しかお願いしなかった理由である。

またしばらく弾いてみる。

(う〜ん、やっぱり、こういう音に合う曲があったと思うんだよな……?)

記憶を手繰りながら、昔練習したフレーズを引っ張り出しては弾き続ける。
「♪……ウェア〜……ん?あっ!これか!」

というわけで!

前置きでコラム一本分書いてしまったが(笑)、
今回の盤はコレ!

「サイモン&ガーファンクル」(1972年発のベスト、日本盤)

そう!
このギター、S&Gの曲で聴いた音に近いのだ!

(ってことはギルドっぽい音ってことになるのかねぇ?)

おいおい、ベスト盤かよ、という声が聞こえてきそうだが、
実はこの盤、筆者にとっては重要アルバム。

なぜなら、このアルバムが洋楽、
そして「音楽へのめり込むきっかけだった!」
といっても過言ではないからだ。

たしか中学生の頃である。

音楽に興味が出始めた私は父のCDラックを漁っていた
(筆者の父はアマチュアギタリストでCDやLPが結構あったのだ)。

あーでもないこーでもないと、ガチャガチャやっていたところ、
このアルバムが目に止まった。

(なんだこのスーパーマリオみたいなヒゲ。サイモン&ガーファンクル?あっ「コンドルは飛んで行く」の人だ!)

皆もご存知であろう超有名曲の「コンドルは飛んで行く」。

音楽の教科書に載っていたこの曲名から彼らに気づいた私は
(あーいう曲ばっかなのかな)と、
興味本位でこのアルバムをCDプレイヤーにかけた。

(えっ!?カッコいいじゃん!全然コンドルとイメージ違うじゃん!)

そう!
「ミセス・ロビンソン」のグルーヴィーなリフから始まるこのアルバムは
筆者の思い込みを見事に裏切り、虜にしてしまったのである。

 

ちなみに、収録曲はこちら。
    ↓
A1:ミセス・ロビンソン

A2:エミリー・エミリー

A3:ボクサー

A4:59番街橋の歌

A5:サウンド・オブ・サイレンス

A6:アイ・アム・ア・ロック

A7:スカボローフェア

B1:早く家へ帰りたい

B2:明日に架ける橋

B3:アメリカ

B4:キャシーの歌

B5:コンドルは飛んで行く

B6:いとしのセシリア

ほら!見事な良曲ぞろいで曲順もよいでしょ!

しかも、このアルバム、ライブバージョンが多く収録されており
(A2、A4、B1、B2、B4がライブ版)
正しく「サイモンとガーファンクル」という「デュオ」の「生々しい魅力」が
ガンガン詰まった素晴らしい「ベスト盤」なのである!

Mash氏のお好きな「四月になれば彼女は」や、
筆者の好きな「ブックエンドのテーマ」が入ってないのが残念だが、
まあ、そちらはオリジナルアルバムで聴けばよいでしょう。

このLPがMash氏から送られてきた荷物の中に入っているのを見つけた時は
懐かしさのあまり、しばらくジャケットに見入ってしまった。

(歌詞も秀逸で、LPを聴いていたら、当時「アイ・アム・ア・ロック」の
「僕は岩、僕は島。岩は痛みなんか感じない、島は泣くことなんかない」にいたく感動し、「セシリア」の「起きてベッドに戻ったら彼女の横には違う男が寝てたんだ」にどぎまぎし、「アメリカ」で描かれる男女の逃避行とその終わりに強烈なセンチメントを感じた・・・そんな、あの頃の気持ちが見事に甦ってきた)。

ベスト盤にも良し悪しはある。

単純なヒット曲のみの抜き出しだったり、曲の並びに無頓着だったりというものも多いが、このベスト盤については太鼓判を押させてもらおう!
(音もいい!見つけたらベスト・バイだ!)

そんなこんなで、久々にS&Gの練習なんかしている私である。

諸君、やっぱりギターも盤も面白いぞ!

「ディキダドゥドゥフィーリングルーヴィー♪」


《 ハウリン・メガネ筆 》



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