【2019年茂庭万吏生誕祭】Adult Sweets/君のせいだよ【便乗短編集】 | あるひのきりはらさん。

【2019年茂庭万吏生誕祭】Adult Sweets/君のせいだよ【便乗短編集】

 ありがたいことに、キャラの誕生日にイラストを描いていただけたので……キャラ誕3周目は、そのイラストや動画などから浮かんた短文を量産してみようかと思います!!

 なお、霧原の思いついた順番で書いていきます!! それではレッツゴー!!

 

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■Adult Sweets

 

 己の思考を切り替えるのに、これは最高のアイテムだと思う。

 口に入れて、風味を楽しんだ後……内側に溜まった鬱憤と共に吐き出していく。

 白い煙がゆっくりと立ち上っていく様を見つめながら……今日、これからに思いを馳せるのだ。

 

「……今日の晩飯は、スズが作った唐揚げ食べてぇな……」

 

 そんな彼を少し離れた場所からジト目で見る佐藤政宗は、彼が手に持っているシガレットチョコの箱と、くずかごに捨てられた『妖怪煙』のパッケージを見やる。

 そして、心底思うのだ。

 

 妖怪煙――指先につけてこすると煙が出るおもちゃ――を右手の親指と人差指で盛大にこすった後、急いでシガレットチョコを持って口元に近づけて息を吐くことであたかもタバコを吸っているように見せるというちっちゃなちっちゃな努力の積み重ねを……どうして惜しまないのか、と。

 

 

参考にさせてもらったもの

 

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■君のせいだよ

 1年を通じて、その期間にしか食べられないもの、飲めないものが増えている気がする。

 特に冬場は期間限定のホットミールや暖かい飲み物などが日を追うごとに増えていき、コンビニの店頭や自販機の前で、前回の自分が何を買ったのかを思い出すことから始めなければならないのだ。

「……あ」

 次の顧客の元へ向かう途中、自動販売機で買った缶コーヒー。

 『冬季限定』という文字につられてボタンを押し、初めての味にちょっと期待してみたものの……一口飲んだ瞬間、過去に味わったことのある風味が広がる。

「これ……先週も飲んだっけな」

 最早先週だったかどうかもうろ覚えだが、とにかく、過去に味わったことのある味に、言いようのない敗北感を抱いていた。

 違う味を楽しみたかったのに、既に知っている味と香りが広がっていく。

 だったら、隣のカフェラテにすればよかった。甘ったるいのは苦手だけど。

 北風が吹きすさぶ中、左手を隠しながら静かにコーヒーを飲む。

 そして、程なくして飲み終えた万吏は、缶の縁から口を離して……肩をすくめた。

「……まぁ、これも……ご縁ってやつなのかねぇ……」

 この前に立ち寄っていたのは、東日本良縁協会仙台支局。

 きっと、目には見えない何かが働いたのだろう。でなければ、自分がこんなミスをするはずがないのだから。

 要するに全部政宗のせいだという結論に達した万吏は、空き缶を自販機横のゴミ箱に捨てて……残り香とともに、次の現場へと向かうのだった。

 

 

参考にさせてもらったもの