2018年10月12日
(212)永久運動の如く
◎ 初めからそうだった
コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントを
お届けする『マーケティング小咄』。今回のテーマは、目的と手段。
「やはり、これからの集客メディアはインスタグラムとLINE@ですね。」
開口一番、得意気に語り始める某経営者。
どうやら、またどこかのセミナーにでも参加して
最新の集客術とやらを学んできたのでしょう。
学ぶべきはそこではないと、再三お話ししているにもかかわらず
これまでの失敗から、全く学んでいないようです。
彼とは、かれこれ10年近いお付き合い。優秀な技術者である彼は
大手メーカーから独立し、ユニークな製品を開発しました。
ところが、販売に関する知識や経験を持っていなかったため
販路開拓に苦戦していました。
そんな折、知人を介して紹介され、乞われて
最少リスクで販売する方法をその場でいくつかアドバイスしました。
その時は、なるほどと納得して別れたのですが
半年後、再会した折には状況が悪化していました。
話を伺うと、別の方に紹介れたコンサルタントの助言に従って
私のアドバイスは全く実行されていませんでした。
大手コンサルティング会社出身で独立したばかりという彼は
無料で販路開拓を引き受けてくれたとのことです。
任せてくださいとの言葉を信じて丸投げし
自身は新たな開発案件に没頭していたようです。
結果は、当初の触れ込みとはかけ離れ
大手企業の下請けのようなポジションに甘んじているとのこと。
当の本人は、いつの間にか去って行ったというのですが
私に言わせれば、責任は5分と5分でしょう。
差し当たりの資金不足の解消と経営立て直しのため
元の事業を売却して、新しい事業に専念することにしました。
どうにか急場をしのぎ、後は一人で頑張るというので
気がかりではありましたが、成功を祈っていたのですが・・・。
◎ 懲りない御仁
それからも、数か月或は1年毎に連絡を戴くのですが
話の内容は、決まって毎回同じパターン。
前回の案件は上手く行かなかったが
今回は確かな内容なので知恵を貸してほしいと。
お世話になっている紹介者の手前もあり、無下にもできず
相応のアドバイスを返すものの、実行されたという話は一向になし。
色々なところに学びに出向き、相談するのは熱心ですが
それにつられて行動がブレてしまい、一貫性が無いのです。
重要なことは、どんな目的でどのような事業を行うのか。
顧客は誰で、顧客の価値は何かというコンセプトを定めることです。
何度も繰り返してきた話を、一月前にもしたばかり。
にもかかわらず冒頭の台詞、言葉を失いました。
巷に溢れる多くのビジネスセミナーや書籍には
最新のノウハウが溢れています。
一見、即効性がありそうで、魅力的に映るのでしょう。
そうしなければ、ノウハウ自体が売れないのですから当然です。
もちろん、使い方やケースによってたいへん有効なものもあります。
けれども、ノウハウはあくまでも手段にすぎません。
なぜその手法を用いるのか、目的が明確でなければ
使う意味もなければ、成果も期待できません。
無意味とは思いつつ、尋ねてみたものの案の定・・・。
生涯ノウハウ探しの旅を続けるのでしょうね、この御仁。
今日の一言: 目的を 見ずして使う 手法馬鹿
新規事業のご相談、セミナー・執筆のご依頼はお気軽にどうぞ。
目立ちすぎる擬態。
優れた技能も場所によっては・・・。