それでは「角落ち」について説明してまいります。図1は「角落ち」の初形図です。
(図1 角落ちの初形図)
上手にとって「角」がないのは大きなハンデであることは間違いないのですが、マイナスばかりかというとそうでもありません。「角」がいないために、良いこともあるのです。それはどういうことかというと、「角頭」の弱点がないということです。
「平手」の将棋ですと、相手の「角頭」を狙うというのが、代表的な攻め方としてあります。ご存じ「棒銀」がそうですね。ところが、「角落ち」の上手に対して「棒銀」で攻めていくのは、少し損な意味があるのです。
図2を見てください。下手は「棒銀」を「2五」の地点まで進出させていますが、上手には攻撃目標となる「角」がいないため、△3二玉~△2二銀として2枚の駒で「2三」の地点を守ることが容易なのです。図2以下、下手が▲2四歩と「合わせ歩」で攻めても、△2四同歩、▲同銀、△2三歩で2筋は受かっています。というわけで、「角落ち」の上手に対しては、別の指し方が必要になってくるわけです。
(図2 △2二銀まで)
「棒銀」は相手の出方によっては効果的な場合もありますので、「含み」に残しておき、それ以外の攻撃もできるようにしておくのが良いのです。
さて、「角落ち」では上手が先に攻めてくる展開になりやすく、下手はしっかりと受けて立つ覚悟が必要です。それには、自らの攻撃よりも先に「玉」の守りを固めることを急ぐべきです。下手にはいくつかの作戦があるのですが、「矢倉囲い」(やぐらがこい)に組んで戦う指し方が有名ですので、12/16(日)の操山教室ではその指し方を解説します。具体的には図3のような布陣を下手は目指します。
○初手からの指し手:△8四歩、▲7六歩、△6二銀、▲7八銀、△5四歩、▲5六歩、△6四歩、▲6六歩、△7二金、▲5八金右、△5三銀、▲6七金、△6三金、▲4八銀、△7四金、▲4六歩、△6五歩、▲同歩、△同金、▲6六歩、△6四金、▲4七銀(図3)
(図3 ▲4七銀まで)
以下、上手の攻撃を受けつつ、余裕があれば、「角」を「7九」~「5七」の地点に移動し、「玉」を「8八」の地点に入城させるのが理想的な展開になります。
つづく・・・。