『フィッシャーを殺せ』(原題:REFREX ACTION)
クリストファー・フィッツサイモンズ (訳:真野 明裕)
フィッシャーは、東欧の某国の優秀な諜報員だったが、ある作戦中に上司のヘーレにハメられて殺されそうになってしまった。
実はその作戦の時、フィッシャーは愛妻を西側の工作員に託して西側に逃がす予定だった。しかし、命からがら生き残ったフィッシャーは、逃げきれなかった妻がヘーレの網にかかって命を落としてしまった事を知った。
フィッシャーは、ヘーレに絶対の復習を誓いロンドンに亡命した。
それから12年。
フィッシャーは平凡なサラリーマンとなり、フィッシャーの前歴を知らない女性と結婚し二人の子供をもうけ、平和な家庭を営むようになった。前妻を殺したヘーレに対する復讐心も消えてしまった・・・が、そんなある日、政府の高官になったヘーレが“ 輸出協定 ”を結ぶためにロンドンにやって来ることになった。
フィッシャーは、ヘーレに宣言した復讐の経緯と、そのことを決して忘れずにフィッシャーを始末しにかかるであろうヘーレの執着心のことを思い出した。
フィッシャーは、ヘーレの先手をとって妻子を伴って行動を起こした!
★☆★ ネタバレ・感想 ★☆★
先ず最初に言っておかなければならないのは、この本を読むのに半年以上かかってしまった。そして、その前に半年かかって別の一冊の本を読み切ることが出来なくて、諦めてしまったことを宣言させてもらう!
『フィッシャーを殺せ』と言うタイトルから、主人公のフィッシャーが敵に追いかけ回されて、ある程度話しが進んだらフィッシャーが反撃に出るものだと思って読み進んだ。
この文庫本は1981年が初版なので、単行本はもう数年早く出版されていたのだろう。話しの展開がもっさりしていて、ちょっとまどろっこしかった。
作者がイギリス人だと言うこともあるが、ハリウッドの映画やアメリカの商業文学にどっぷり浸かっている私には、ストーリーにスピード感が欲しかったのは正直な感想だ。
また、フィッシャーが反撃に出るのが、300ページの本作の最後の50ページで、最後も血も涙もない敵のヘーレを殺さずに終わってしまった。
まだこの当時の小説では、正義の味方は極悪人であろうとも他人を殺してはいけないと考えられていたのかも知れない。
そして最後の最後に、フィッシャーの前妻はヘーレに捕らわれた後、生きたままフィッシャーを待ちながら余生を送っているとヘーレ自身に知らされる。
アーネスト・フィッシャーは、前妻は殺されたと早合点して、死んだと思いこんでいた最も愛している妻を失い、今、最愛の家族に囲まれて居ることを知る。
これは、殺したり殺されたりするよりも全然ハードだ!
こりゃ、精神的にちょ~~~ハードだよ!!!!!
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