misty green and blue

Life is like an onion...

The Essence of Beauty

2018-12-09 | artist


イタリア生まれのフランス育ち、ロシアで開花したことから世界中に広まったバレエは、物語性をもち、音楽伴奏・舞台芸術・舞踊によって表現する、歌詞・台詞を伴わない舞踊劇である

日本におけるバレエの発祥は、1922年(大正11年)に全国8都市で行われた訪日公演で披露したロシアのプリマ・Anna Pavlovaの『瀕死の白鳥』が人々に衝撃的感動を与えたことがきっかけである

湖に浮かぶ一羽の傷ついた白鳥が、生きるために必死にもがき、やがて息絶えるまでを描いた小作品『瀕死の白鳥』は、Anna Pavlovaの代名詞と言われる程、至高の踊りであったがために、彼女の死後20年間、誰も踊ることがなかったという

その後の日本においてバレエが定着・普及するきっかけを作った、世紀のバレリーナ・Anna Pavlova
彼女の名には聞き覚えがあった
私が幼少時にバレエ(モダンバレエ)を習っていたことと無関係ではないのかもしれない


彼女の貴重な映像を観る機会が、突然訪れた
昨日のことである
日本バレエ協会前会長の薄井憲二(1924-2017)が収集した世界でも有数の規模を誇る「薄井憲二バレエ・コレクション」の中から厳選された約300点の資料―バレエ史・美術・三大バレエ(Peter Ilyich Tchaikovsky作曲、ロシア帝室バレエ団 のバレエ・マスター Marius Petipaの振付による、「眠れる森の 美女」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」)をテーマに、ダンサーたちの自筆の手紙や写真、公演プログラム、美術的価値の高いアンティークプリント、ポスター、文献資料の他、牧阿佐美バレヱ団の華麗なる衣装と映像の数々、藤田嗣治の『白鳥の湖』舞台背景草案模写、「日本バレエの母」Eliana Pavlova(日本名:霧島エリ子)の遺品、Marie LaurencinやSalvador Dalí、Jean Cocteauらによるバレエを題材とした作品などが展示された、薄井憲二バレエ・コレクション特別展『The Essence of Beauty バレエ ―究極の美を求めて―』

「薄井憲二バレエ・コレクション」の中のひとつに、生前の彼女が踊る『瀕死の白鳥』があった
擦り切れてぼやけたモノクロの映像だったが、その立ち居振る舞いは、息をのむ程の美しさだった
惜しむらくは、絶命のラストシーンが収められていなかったことである

 息を殺すの
 そのまま幕が下りなくて、本当に死ぬかもしれない
 それでもいいの

舞台の上で死んでもいいと思えるほどの、入魂の舞―
流石である




山岸涼子の漫画『アラベスク』を夢中になって読んだ幼いあの頃―
ダイナミックだが優雅さに欠けると評されていたキエフ出身のノンナ(ペトロワ)が、ソビエトの「金の星」と称されるソリスト・ユーリ(ミロノフ)に見い出され、猛特訓を受ける中、徐々にその才能を開花させていく
主要キャストに抜擢され、見事公演を成功させた新作バレエ『アラベスク』の映画化により、ボリショイバレエ団のプリマ・ラーラと役を巡って対決する作品に選ばれたのが、『瀕死の白鳥』だった

一方は落ちこぼれ
一方は天才

私の中では何故だろう、アンナとノンナ、ふたりを重ねてしまう自分がいる....


The Dying Swan / Anna Pavlova
 


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