プロコフィエフ 組曲「キージェ中尉」 | 藤子マニアのギター弾き

プロコフィエフ 組曲「キージェ中尉」

「エスパー魔美」の原作で、「うそ×うそ=?」という話があります。ささいなトラブルを“かまいたち”のせいにしたのがきっかけとなり、その嘘が次第に膨れ上がっていき、大変な騒動へと発展する話です。

この話の中で、主人公魔美の同級生であり音楽マニアの男子学生、富山(とみやま)さんが、魔美に勧め聞かせたレコードが「キージェ中尉」でした。富山さんも説明してくれていますが、この曲は映画音楽であり、キージェ中尉という実在しない人物を巡り、同じように嘘が肥大化していくストーリーです。



作中で紹介されたこのレコードはジャケット左上にRBAと書かれていましたが、実際はRCAレコード音源、日本ビクター発売のフリッツ・ライナー指揮、シカゴ交響楽団演奏による、A面プロコフィエフ組曲「キージェ中尉」B面ストラヴィンスキー交響詩「うぐいすの歌」です。ちなみにこれは1969年に発売された、フリッツ・ライナーの名演集全10巻のうちの第7巻のようです。

「うそ×うそ=?」の初出は1977年。富山さんを使って丁寧にキージェ中尉について解説させたのはもちろん藤子・F・不二雄先生です。恐らく先生のレコードコレクションの一枚だったのではないでしょうか。全く同じこの音源を流しながら作品を読むと、「うそ×うそ=?」の原稿を描いているF先生の姿を、すぐ側に感じるような気がします。