かいつぶりの日々

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【海外】アメリカの不動産鑑定士って?

2020年02月13日 | 実務
こないだのネパールから海外の不動産事情をつらつら調べてます。

アメリカ、大統領選挙真っ最中ですが、この国の不動産鑑定ってどうなんだろう、と調べました。(ただし、日本の大手の鑑定会社は対応しているそうです、僕もやってみてぇ!!)
以下、本会資料より引用部分あり(2015年のネタですんでやや古い)。

■不動産鑑定士の資格ライセンス制度
 アメリカでは、金融機関改革/再建/強化法(FIRREA:Financial Institutions Reform, Recovery, and Enforcement Act of 1989)第 11 章(Title XI)に基づき、金融機関に 対して不動産の鑑定評価を提供する場合には、当該鑑定人が業務に従事する州のライセ ンスを取得しなければならないことになっている。このライセンス制度については、関 係機関が共同で設立した非営利の民間機関である不動産鑑定財団(TAF:The Appraisal Foundation)がライセンスの種類及び取得要件を定めており、この規定に従って各州政 府がライセンス制度を設定・運用している。 
すなわち州ごとにライセンスを発行しているようで、これ、運転免許でも同じですね。

ライセンスには、鑑定評価することができる資産の範囲に応じて
①住宅不動産鑑定人 (LR:Licensed Residential Real Property Appraiser)
→これは複雑でない 1 から 4 世帯までの住宅物件で取引価格が 100 万米 ドルを超えないもの、および住宅物件以外で取引価格が 25 万米ドルまでのものを鑑定 評価できる。

②公認住宅不動産鑑定人(CR: Certified Residential Real Property Appraiser)
→公認住宅不動産鑑定人は、住宅不動産鑑定人よりも範囲が広がり、複雑な ものを含む 1 から 4 世帯までの住宅物件(取引価格による制限はない)、および住宅物 件以外で取引価格が 25 万米ドルまでのものの鑑定評価が認められている。

③公認総合不動産鑑定人(CG: Certified General Real Property Appraiser)
→公認総合不 動産鑑定人については、特に制限なく不動産の鑑定評価を行うことが可能である。

ランキング的には一番上が公認総合不動産鑑定人ですね
要件は
①は150時間の講座受講、これに2000時間の実務、大学レベルの30時間以上の講義を受けていること。
それプラス不動産鑑定財団の鑑定人資格委員会(AQB:Appraiser Qualification Board)に より認定された統一試験に合格すること が条件です。


②は  a.必須科目を含む 200 時間の講座を受講すること b.2,500 時間の鑑定評価の実務経験があること(ただし、従事期間が 24 ヶ月以上) c.学士以上の学位を有すること d.不動産鑑定財団の鑑定人資格委員会(AQB:Appraiser Qualification Board)に より認定された統一試験に合格すること が条件

③はa.必須科目を含む 300 時間の講座を受講すること b.3,000 時間の鑑定評価の実務経験があること(ただし、1,500 時間は住宅以外の 実務経験で、従事期間が 30 ヶ月以上であることが必要) c.学士以上の学位を有すること d.不動産鑑定財団の鑑定人資格委員会(AQB:Appraiser Qualification Board)に より認定された統一試験に合格すること だそうです。やはり狭き門…

全米における不動産鑑定評価に係る州のランセンス保有者数は、2015 年 1 月 28 日時 点で、住宅不動産鑑定人が 9,461 人、公認住宅不動産鑑定人が 51,440 人、公認総合不 動産鑑定人が 38,848 人となっている。

免許更新についても 2 年ごと更新が必要で、日本とは異なる部分では、ライセンス年間 14 時間の継続教育(Continuing Education)を受けなければならず、そ のほかに 2 年ごとに 7 時間の鑑定実務統一基準(USPAP:Uniform Standards of Professional Appraisal Practice)の最新コースを受講する必要がある。 なかなか継続するにもいろいろとありますね。

次は所属団体について…。

 アメリカには資産評価に関連する専門家団体がいくつか存在するが、米国不動産鑑定 協会(AI:Appraisal Institute)が不動産評価の分野では代表的な団体である。

米国不動産鑑定協会の会員資格には、全ての不動産の評価が対象である MAI と住宅の 評価専門家の資格である SRA などがある。MAI と SRA の会員資格の取得・入会に当たっ ては、次の要件を満たすことが必要である。 

〔MAI〕 a.鑑定実務統一基準及び倫理規定に係る講習を受けていること b.学士以上の学位を有すること c.次のコースを受講し、試験に合格していること ・鑑定評価書の作成及びケーススタディ ・収益還元法(上級) ・市場分析(上級) ・計量分析の理論とケーススタディ(上級) d.総合試験に合格していること e.4,500 時間の専門的な実務経験を有すること 6 f.必須知識に関する実演レポートを提出していること 
〔SRA〕 a.鑑定実務統一基準及び倫理規定に係る講習を受けていること b.学士以上の学位を有すること c.次のコースを受講し、試験に合格していること ・住宅地の評価と原価法 ・住宅に係る取引事例比較法と収益還元法 ・住宅鑑定評価書の作成とケーススタディ ・住宅市場分析または一般市場分析 ・住宅評価ソフトとケーススタディ(上級) d.4,500 時間の専門的な実務経験を有すること e.必須知識に関する実演レポートを提出していること 米国不動産鑑定協会の会員資格には更新等の制度はないが、5 年間に 500 単位の継続 教育(Continuing Education)を受ける必要があり、そこには受講が義務づけられてい る不動産鑑定実務統一基準及び倫理規定の講座も含まれている。継続教育は集合研修の ほか、オンラインセミナー、Web を利用した双方向講座などが同協会によって提供され ている。また、受講状況についてのモニタリング等を行う特別な仕組みはないが、不動 産鑑定評価書に添付する同協会の会員資格を表明する書面のなかで、継続教育プログラムを終了していない旨を記載すること。

長い文章になりましたが(w
協会に入会するにはカリキュラムを受講し、テストをパス、その上でレポートを書くなど、資格を取ってからも勉強が続きます。
受講したことがないので、難易度は不明ですが、相当な勉強が必要かと想像できますね。
もちろん、日本でも単位を取る研修制度はあります、同様に必須科目もありまして、たまに研修後には試験があります(基本的に講義聞いていたら落ちないですが)

民間資格ながらアメリカが不動産鑑定の発祥の地だそうで、国土の規模はデカいけど、不動産の価格の判定については相当シビアな国みたいで(何かしら裁判になることが多い国ですから住宅の売買や家賃設定についても神経質になりますね)、不動産鑑定も想像以上にシビアになるということですね。

やはり、土地は重要な財産
そこは世界共通認識なようでして、世界の不動産鑑定士って感じます。

また面白いネタが見つかればブログにしますね。




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