らぶばなです。原作の中で「その言葉を本人に伝えてあげてよー!」と思ったセリフを他人から伝えてもらおうというシリーズです。アッシュ生存未来設定で二人はNY郊外にすんでいます。今回はちょっとギャグ系かな?メッセンジャーはB氏ですが、一体どのセリフかな?(笑)
ハロウィンシーズンなので、皆でアッシュ英二邸に集まってもらい、パーティーをしてもらいました。少しでもお楽しみいただければ幸いです。前編と後編に分かれます。
「伝えたかったそれぞれの想い(A→英)ハロウィンパーティー(前編)」
木の葉が緑から黄色身を帯びてくる頃、普段は閑静な高級住宅街のあちこちに鮮やかな黄色や赤色が目立ち始めてくる。各邸宅の庭には大きなパンプキンオレンジが飾られ、中身をくりぬいて作られたジャック・オ・ランタンが玄関先や庭に置かれている。
中には風船や電飾で派手に大掛かりな装飾をした住宅もあり、まるで観光地のようになっている一角もある。仮装した大人がお菓子を集めようとカゴを手にした子供達にお菓子をくばっている。
「Trick or treat!」
「かわいいわねぇ。。。はい、どうぞ!」
「。。。。。」
パトカーが交通整理をしていたせいで車が進まず、可愛らしい子供達やほろ酔い気分でハロウィンを楽しむ大人たちの様子をある男が車越しに見ていた。
微笑ましく周辺住民同士の交流にもなっているハロウィンの一面を感じ取ったその男はふっと微笑んだ。
「さぁて、猫ちゃん達の家はどこかな。。。」
男は車を再び走らせた。
***
「パパ!パパーったら! あのお家のお庭を見て!大きなカボチャ!」
「はいはい、見てるよ。ふぁぁぁ。。。眠い」
「パパー!見てるぅ?」
「はいはい、マイケル。見てますよ」
アッシュと英二が暮らす高級住宅街に入ってからマイケルは興奮気味に色々な家を指差しながら父親のマックスに話しかけている。少々聞き飽きてきたマックスは適当に返事をしていた。
「あ、あの家! お庭にゾンビと骨があるよ!」
「そうかそうか。。。ん? ほ、骨だってぇ!?」
”骨”と聞いてさすがに驚いたマックスは車を停めて息子の指差す方を見ると、確かにある家の庭に骨のようなものが見えた。思わず車を停めて確認する。テカテカした表面といかにもオモチャといった骸骨の顔を見て安堵した。
「あービックリした。。。マイケル、あれは風船だ」
「え?そうなの?」
マイケルは目をパチクリさせたが、すぐに次の屋敷に目を奪われている。マックス親子はアッシュと英二の家で行われるハロウィンパーティーに招待されている。ジェシカも招待されていたが、仕事の都合がつかずに参加できなかった。
マイケルは残念がったが、ジェシカは息子のために手作りのコスチュームを用意してくれた。日本のアニメが大好きなマイケルはタブレットをジェシカに見せて熱心に説明し、作ってもらっていた。
「パパ、まだ着かないの?」
「えーと、もうすぐだから待ってくれ。あ、あの家だ」
「。。。。わぁ!」
マイケルの瞳がより一層輝いた。地面から屋根にまで届きそうな巨大な黒猫のバルーン人形が、家の外壁にひっついていた。なぜか屋根にカボチャのバルーンが置かれていて、まるで黒猫がカボチャを屋根に置こうとしているようにも見える。
「大きな家だね!パパ!それに。。。」
プールを見たマイケルが大きな歓声をあげた。すでに水は抜かれていたが、ここにもマックスが知らないアニメキャラのバルーン人形が大量に放り込まれていた。
「見てみて!僕、あのプールに入る!」
「あー、そうだな。でも先にあいつらに挨拶しなきゃ」
大興奮のマイケルを抱きかかえてマックスはインターホンを鳴らした。
「あ、二人ともいらっしゃーい!」
犬か狼のような耳と尻尾を身につけた英二が二人を出迎えた。
「エイジ!どう? Nori Nori だよ!」
ノリノリ君という鳥の衣装を指差しながらマイケルは得意げに言った。鳥のお腹の部分に穴が空いていてそこからマイケルは頭を出している。出迎えた英二は思わずマイケルを抱きしめた。
「マイケル。。。わぁー、可愛いー!!」
「エイジ!僕、あとでノリノリ君プールに入りたい!」
「あ、アレ見たの? 僕も一緒に入ろうっと!」
盛り上がるマイケルと英二を見て、アッシュは呆れ顔だ。
「おいおい、お前も入るのかよ、あのふざけたプールに? 間違ってもダイブしないでくれよ?中に水は入ってないんだぜ」
「わかってるよ。。。プールいっぱいのノリノリくんだよ?入りたいに決まってるじゃないか」
頰を膨らませながら英二は剥れるが、アッシュは肩をすくめる。
「半日かけてあのバルーンを膨らまさせられたこっちの身にもなってくれよ」
「そりゃぁ、君には手伝ってもらって感謝しているけど、僕も一緒にしたじゃないか」
「鳥の数が増えるに連れて、途中から写真撮影に夢中になったのはどこのどいつだ?」
「うっ。。。だって、ノリノリ君と君の組み合わせがすごく良かったからつい。。。。」
二人の様子を見ていたマックスが腹を抱えて笑い出した。
「あははは!いいなぁ、アッシュ。英二の尻に敷かれてんな。」
「嫁の尻に敷かれているあんたに言われたくないぜ」
呆れたようにアッシュが呟いたその時、インターホンが鳴った。
「俺が出る」
アッシュは室内モニターで来客を確認したが、しばらく無言のままだった。
「誰が来たの?」
英二が尋ねるが、アッシュは返事の代わりにため息をついた。
「はぁー、面倒くさいのが来たな。。。」
あまり乗り気ではなさそうにアッシュはしぶしぶと玄関に向かう。英二とマックスは不思議そうに顔を見合わせた。
「やぁ、猫ちゃん!ハッピーハロウィン!」
爽やかな笑顔で現れたその人物をアッシュは見上げた。立派に鍛え上がれた体を見ると、毎日トレーニングを欠かさず強靭な筋肉を維持しているのが分かる。
「。。。。何しに来やがった?」
アッシュは心底嫌そうな顔をした。
「連れないことを言うなよ、恩師に向かって。。。それにちゃんと招待状を受け取ったよ?」
英二が送った招待状を手に持ち、かつてアッシュの教師だったブランカはわざとらしくピラピラとそれを振ったみせた。
「何が恩師だ。それにその格好はなんだ?」
眉間にしわをよせながらアッシュはブランカの奇抜な格好に視線を向けた。偽物のヒゲを付け、頭には緑色の帽子をかぶっている。シャツも緑色でデニム生地のオーバーオールを着ている。日本の有名なテレビゲームのキャラクターを真似しているがそのクォリティはめっぽう低い。
「世間ではハロウィンだろ?変装した方が何かと都合の良い時もあるんだよ。私には。。。」
わざと渋い顔をつくって言うが、全く説得力がない。ピッチピチのTシャツを着て、オーバーオールの肩ひもを片方はずしているせいか、ムキムキの胸板の筋肉がよく分かる。それに気づいたアッシュは嫌そうに視線を避けた。
「あんたのは変装じゃなくて、仮装だろ」
「おまえの瞳にあわせて赤ではなく緑にしたんだぞ?」
「そんなのどうだっていい!」
呆れて怒鳴るアッシュをよそにブランカは平然としている。そしてブランカに気づいた英二とマイケルがパタパタとやってきた。
「わー、ル●ージおじさんだ!すごーい!力強そうだなぁ」
「やぁ、ぼうや。はじめまして。ほら、ぶらさがるかい?」
ブランカはムッキムキの腕を曲げてマイケルに見せると、マイケルは嬉しそうに飛びついた。
元プロの殺し屋とは知らないマイケルは、ブランカをただのコスプレおじさんだと思っているようだ。無邪気にブランカの腕にぶら下がり、遊び相手になってもらっている。
「ん? アッシュの知り合いか?」
マックスが不思議そうにブランカを見ているが、アッシュは何と説明してよいのかわからず言葉を濁した。
「違うと言いたいところだが。。。まぁ、そんなところだ。。。」
「いやぁ、すみませんね。うちの息子が」
マックスは申し訳なさそうにブランカに声をかけるが、彼はにこやかに微笑んだ。
「いえいえ、かわいいですねぇ」
ぶら下がるマイケルを見て、なぜか英二も羨ましそうにしている。それに気づいたブランカが空いているもう片腕を差し出した。
「ん?英二くんもぶらさがるかい?」
「い、いえ!さすがに僕は。。。重いでしょうし」
首を振りながら英二は否定したが、正直ちょっとしてみたいと思っていたので指摘されて驚いた。
「ははは、君とマイケルぐらいなら大丈夫だよ。私も現役の時は両腕に大人がぶら下がっても平気だったものだが。。。」
「。。。。。」
(冗談じゃなく本当だろうな。。。)
ブランカの強さを知るアッシュは笑えなかった。
「な、アッシュ」
マックスがアッシュを小突いて耳打ちをした。
「あの人、プロレスラーかスモウレスラーなのか?」
「。。。。。まぁそんなところだ。。。あの体で商売しているからな。。。」
キャッキャッと英二とマイケルの声が聞こえるなか、詳しく説明するのが面倒くさいアッシュは投げやりな返答をした。
*後編に続く*
(あとがき)
お読みいただきありがとうございます!ブランカに妙なコスプレをさせてしまいましたが、大丈夫でしょうか。。。次回はちゃんと英二に伝えてくれるでしょう。よければ小説へのご感想、リクエスト等お聞かせくださいね。
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