BANANAFISH二次小説 〜もしも英二が病気で入院したら?〜「僕たちの大切な時間」(4) | BANANAFISH DREAM

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らぶばなですほっこり。みなさまご心配おかけいたしております。。。自分の入院ネタを元に、創作しています。本当は英二は大部屋で入院している設定にしたかったのですが、アメリカの病院って感染症対策で個室が多いようです。少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。


 

〜もしも英二が病気で入院したら?〜 

「僕たちの大切な時間」

 

 

第四話:エグゼクティブフロア

 

アッシュの強い希望と財力により、英二は病棟最上階の高級病室階「エグゼクティブフロア」に移動させられた。

政治家やセレブ、超有名ビジネスマンなどVIPが利用するとあって、フロアには入院患者の許可がないと入れないようになっており、各部屋には防弾ガラス入りの窓を使用するなどセキュリティには力をいれている。

 

部屋自体はリラックスできるよう、ダークブラウンをベースとして最高級のインテリアを配置してあり、まるでここは高級ホテルのスイートルームかと間違えそうなほど落ち着いた雰囲気である。淡いアイボリーのソファや応接セット、バスタブのついたバスルームも付いている。簡易キッチンに大きな冷蔵庫と調理器具があり、ここで調理したり持ち込んだものを温めたりすることも可能だ。

 

食事は4種類のメニューから選ぶことができ、そのうちのひとつは日本食だ。

 

英二は落ち着かない様子だが、伊部はここでゆっくり酒が飲めると喜んでいる。

 

(一泊いくらするんだろう。。。ひぇぇ。。。)

 

言葉は出ないものの、言いたいことが顔にでてしまっている。英二を安心させるため、アッシュは彼をベッドに寝かせながら安心させるために小さな嘘をついた。

 

 

「おまえを守るためだったらこれぐらい安いもんだ。ちなみに外出中に投資で稼いできたからカネのことは気にするな」

 

 

本当はゴルツィネからぶんどったカネなのだが、それを元に稼いだので半分はあっているとアッシュは自分に言い聞かせて部屋のカーテンを閉めた。

 

 

「英ちゃーん、冷蔵庫に緑茶が入っていたよ。砂糖なしのね」

 

伊部が持ってきた冷えたペットボトルにストローを挿し、アッシュは英二に差し出した。

 

 

一瞬顔が歪んだが、吐き出したりむせたりはしなかった。こくこくとゆっくり緑色が減っていくのをアッシュはじっと眺めていた。

 

(早く点滴なんてはずれればいいのに。。。早く英二の声が聞ければいいのに。。。)

 

 

「飯は食えそうか?何が食べたい?」

 

4種のメニューを見せると、英二は嬉しそうに眺めて和食メニューを指差した。丸2日まともに食べていないので腹は減っているらしい。食欲があることにホッとしてアッシュは受付に連絡をする。

 

 

日本のコメを使用した炊きたてのご飯を見て、英二の笑顔が輝いた。黄色く光る卵焼き、豆腐とワカメの入った味噌汁、白味魚の煮付けに豚の角煮、ほうれん草のおひたし 。英二がふだん作るものとそう変わらない気がするが、空腹の彼には魅力的だったようだ。ニコニコわらいながら手を合わせ、箸を手に取った。

 

 

だが、まだ口を大きく開けないようで、咀嚼するのも大変そうだ。飲み込むと笑顔が消えた。味覚もまだ戻ってきていないのか、次第に口が動かなくなり、盛大なため息をついて最後は食べるのを諦めてしまった。

 

 

「英ちゃん。。。薬が効いてくるから ゆっくり治療していこう?」

 

「英二。。。ゼリーとかプリンとかはどうだ?」

 

「。。。ん、。。。いら。。。い」

 

(ううん、いらない)

 

悲しそうに英二は首を左右に降った。点滴をしているとはいえ、栄養を取れないと英二の体が弱ってしまう。かつて拒食症を患ったアッシュは何とかせねばと危機感を抱き始めていた。

 

 

「うーん、なにか。。。アッ!」

 

アイディアが閃いたその瞬間、インターホンが鳴った。ドアホン越しにモニターを確認するとそれはドクターだった。看護師を一名連れているが、英二の主治医ではなかった。

 

 

「あれ?主治医じゃないぞ?」

 

伊部が確認すると、主治医は緊急のオペが入ったために代理で別の医師が来たとのこと。英二の主治医は50代のメガネをかけた白髪混じりで背の高い医者だが、代理できた医者は40代前後で背は低く、黒髪のカーリーヘアで腹が少し出ていた。

 

 

「どうもーエイジ、気分はどうかな?」

 

英二は自分の喉を指差し、痛みがあることをアピールした。

 

「じゃぁ、口の中見せてくれるかい?」

 

小さなライトを当てて、ドクターは喉の中を確認する。

 

伊部とアッシュはそっと静かに見守っていたが、二人は気まずそうにまたお互いの顔を見合わせていた。

 

こそこそと小さな声で伊部がアッシュの耳元でつぶやいた。

 

「覚えているか。。。?この人。。。」

 

「あぁ、イヤってほど覚えている。。。」

 

 

世間は狭いというが、このイタリア系のドクターのことをアッシュはよく覚えていた。精神衛生センターでナース姿のアッシュをナンパしてきた男だ。

 

 

「うーん、まだ少し腫れてるけど、膿は随分出たようだね。もしまだ残ってたらまた切開する必要があったんだけどねーハハハ! よかったね、ボク!」

 

どうやら英二を子供と思っているらしく、わざと脅かすようなことを言ったあと、ポケットからキャンディを取り出して無理やり英二の手に握りしめさせた。

 

そして伊部の方を振り返って言った。

 

「お父さん、息子さんは問題ありませんよ。しばらくお薬で様子みましょう。。。おや?」

 

ドクターはアッシュに気づくと、首を傾げた。

 

「君。。。どこかで会ったかな?」

 

「いいえっ!全然!初対面です!」

 

 

「まぁ、ドクターったら。ナンパしているみたいですよ。そろそろ行きましょう」

 

看護師が呆れ顔で促すが、ドクターは何か納得していないようで、なかなか立ち去ろうとしない。

 

 

アッシュは冷や汗が出てきた。

 

 

「うーん? 確か。。。バー。。。」

 

ドクターが思い出す前に、アッシュは先手必勝とばかりに被せて話し始めた。

 

 

「そう!バーバラですよ、ドクター!5階にいる赤毛ロングのナース、バーバラって言うんですけど、彼女すっごくドクターのファンだって言ってました!」

 

 

「え? 赤いロングヘアのバーバラだって!? ボクに気があるの?」

 

ドクターは嬉しそうに鼻の下を伸ばしてニヤニヤしはじめた。自分に気のあるというナースに声をかけようとでも考えているのだろうか。

 

 

「。。。ゴホンっ」

 

付いてきたナースの咳払いにハッと我に返ったドクターはそそくさと部屋を立ち去っていった。

 

どっと疲労感が背後から押し寄せてきたが、アッシュにはやるべきことがあった。奥村英二の為ならどれほど疲労していても動ける自信が彼にはあった。

 

 

 

 

 

*続*

 

(あとがき)

お読みいただきありがとうございます爆笑。 ついでにあのドクターも呼んでしまいました(笑)果たして本物バーバラと恋は生まれるのでしょうか。。。?そしてアッシュは何をするつもりなのでしょうか?よければ小説へのご感想、リクエスト等お聞かせくださいね。

 

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もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM

 

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