BANANAFISH二次創作 「星空に君を想う」(4) | BANANAFISH DREAM

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皆さま、こんにちは!らぶばなですほっこり。星にまつわるお話のBANANAFISH二次創作小説をぼちぼち書いています。今回はプラネタリウムに行く話ですが、NYのどこにあるんだろう。。。って調べてみると、なんと原作でも所縁の深い?アメリカ自然史博物館の中にもあるようです。この話、いつの設定なんだろう。。。さすがにユーシス&ブランカと戦った後に再び行くことは無いだろうから、それよりも前に行ったことがある(プラネタリウムだけ)ということにしてください(汗) 尚、プラネタリウムやショーの内容については全くの空想で書いておりますので、実物とは違います。時代設定もおかしいですが、ご了承くださいませ。

 

お付き合いいただければ幸いです。

 

 

「星空に君を想う」(4)

 

 

セントラル・パークの西側にある巨大な博物館に二人はやってきた。

 

 

ー アメリカ自然史博物館 ー 1869年に創業。世界有数の科学や文化を紹介している有名な施設で、世界中から多くの観光客が訪れている。

 

化石、動物、民族、鉱物、隕石、宝石など様々なものを展示しているが、自然史博物館の中にはプラネタリウムもある。

 

 

アッシュと英二は肩を並べて博物館めざして歩いていた。”フン、フン、フーン”と気持ち良さそうにハミングをしながら英二は軽く首と肩を揺らしている。

 

ご機嫌な英二を見ていると、アッシュはいつも彼を揶揄いたくなる。嬉しそうな英二を見るのはアッシュにとって素晴らしいことなのだが、ほんの少しだけ自分の方を見てほしい・意識してほしいという気持ちも起きるてくる。

 

グリフを失ったいま、アッシュを思い切り甘やかしてくれるのは英二だけだ。こののほほんとした黒髪の親友は見た目以上に頑固だが、いつもアッシュを気遣い寄り添ってくれる唯一の存在である。

 

自分でも子供っぽい独占欲だと思うのだが、英二と過ごすささやかな時間は彼を慰め、励まし、希望を持たせてくれるのだ。

 

 

さっそくアッシュはニヤニヤ笑いながら英二にちょっかいをだしはじめた。

 

 

「なんだよ、さっきからヘンテコな歌をうたって。。。気持ち悪いぞ。」

 

 

英二は頰をハムスターなみに膨らませ、アッシュを睨みつけた。

 

「はぁ? 気持ち悪いってなんだよ! 人が気持ちよく歌ってるのに!君だって何だよ、メガネなんてかけて。。。どんなけ気合い入ってるの?」

 

 

アッシュ定番の変装”クリス”スタイルを英二は指さした。

 

 

「今日の俺は真面目に天文を愛する高校生”クリス” なんだよ。分かった?そんなふざけた オニイチャンは中学生。。。いや、小学生みたいだなぁ。。。」

 

 

「しょ。。。小学生だってぇ? そんなわけないだろ?」

 

驚きながらも、それでも英二は嬉しさの方が優っているようで、アッシュの挑発には乗ってこなかった。すぐに再び微笑みながら英二は穏やかな表情を浮かべた。

 

 

「。。へへっ、僕は嬉しいんだ。NYに来て随分経つけど、ここに来るのは初めてだな。」

 

そう言って、携帯の画面をアッシュに見せた。そこには彼が検索したアメリカ自然史博物館のフロアマップが表示されていた。

 

 

「。。。。」

 

英二の言葉になぜかアッシュの表情が一瞬曇った。

 

 

「??」

 

(なに?どうしたの?)

 

意味がわからず、英二はじっとアッシュの顔を覗き込んだ。するとアッシュはポツリと小さな声で呟いた。

 

「そうか。。。不自由させてるよな。。。」

 

 

安全上の問題で自由に外出できない英二の状況がずっと気がかりだったアッシュにとって、先ほどの何気ない英二の言葉はこたえたらしい。だが英二は自らの意思で全て納得のうえでアッシュの側にいるのだ。そのことについてアッシュが悩んだり傷ついたりする必要など全くないと思っている。

 

 

慌てて否定しようとするが、うまく言葉が出てこない。

 

 

「アッシュ。。。そういう意味じゃないよ。僕は観光客じゃないんだ。僕は君の側にいたいだけなんだ。。。。何ていえば良かったのかなぁ。。。? 」

 

自分の気持ちを上手に英語で表現できず、英二は髪をクシャクシャにしながらアーとかウーとか唸っている。必死な彼の様子が可愛らしくて、思わずアッシュはプッと吹き出してしまった。

 

 

「ハハッ!変な顔してるぜ?」

 

 

再び英二の頰が膨れる。

 

「なんだよ、まだまだ英語は勉強中なんだよ。。。えっと、すっごく新鮮な気分なんだ。君と一緒に暮らしているけど、こんな風に外出できるのが何よりも楽しい!」

 

 

英二の満面の眩しい笑顔にアッシュは照れたのか、視線を外して言った。

 

「。。。そうか。そろそろ上映時間だな。急ごうぜ」

 

 

「うん!」

 

 

頷いた英二は少し前を歩くアッシュを追いかけた。

 

 

 

****

 

 

 

プラネタリウムでは、NASA、ESA、JAXAによって収集された太陽系の科学データを元に製作されたスペースショーが大人気だ。

 

パンフレットによると、測定データにより作られた美しい天体のありのままの色、形の鮮明さ、有名女優のナレーション、宇宙飛行体験をしているのではないかと錯覚するほどダイナミックな映像に驚く観客が後を絶たないらしい。

 

 

宇宙に浮かぶ丸い天体のような形をした建物が目印で、アッシュと英二がプラネタリウムに入って行くと、多くのファミリー連れの姿が見えた。こども達はショーを今か今かと楽しみにしている。

 

チケットは予約してあるが、自由席のみなので、二人は中央後部に座ることにした。天井はかなり高くドームのように丸くなっている。

 

会場説明アナウンスの後、照明がパッと消えた。そして突然視界が変わった。

 

「あっ。。。」

 

天井のスクリーンに映し出されたのは真っ暗な宇宙空間。360度どこまでも暗闇が広がっていて、周囲には数え切れない小さな星が無数に輝いていた。”音”の無い宇宙空間を表現しているのか、音楽も鳴らず、ただ静かに星だけがそこに存在していた。

 

「。。。。」

 

観客は静寂の世界に煌めく星の美しさに感激し、それぞれ静かに鑑賞していた。

 

英二は思わず息を飲んだ。彼の体は硬直し、額からは汗が出てきた。

 

(何なんだこれは。。。。)

 

宇宙は彼の想像していたとおり「美しい」ものだった。だが、想像していなかった感情に包まれている。それが何かわからず英二は ”畏怖” を感じていた。

 

 

隣に座っていたアッシュは静かにスクリーンを見ていた。だが期待していた反応が無いことが正直不満だった。日頃何にでも感激する英二なら、プラネタリウムを見たらすぐ何らかの反応があると思ったからだ。

 

”アッシュ、綺麗だね!”と騒ぐに違いないと思ったのに、予想よりずっと静かな反応だ。

 

気になってアッシュはちらりと彼の横顔をうかがった。どういうわけか、英二の表情が硬い。しかも彼の体は強張っているように見えた。

 

(ん? なんかこいつ硬直してねぇか? まさか暗いのが苦手だとか。。。?)

 

心配になったアッシュは英二の肩をトンと軽く叩いてみた。彼の体は少し冷んやりしていた。空調がよく効いているからかもしれない。

 

英二は反応してこない。気づいていないようだ。彼の視線はプラネタリウムを見ているが、眉間には皺が寄っていて表情も厳しい。まるで何か別のことを考えているようだ。

 

「。。。。?」

 

(。。。見えてないのか?それても”見て”いないのか?)

 

アッシュは首を傾げた。楽しみにしていたものをようやく見れたにしては、英二の反応は少し違う気がしたからだ。

 

(集中しているだけかもしれないが。。。)

 

人は視点が変わる時、乗り物酔いに似た感覚に陥ることもあると聞いたことがある。英二の邪魔をしたくは無かったが、念のため確認しておくことにした。

 

先ほどより強く肩を揺さぶって、英二の顔を至近距離で覗き込んだ。

 

 

「英二、どうした? 気分でも悪いのか?」

 

 

ハッと意識を取り戻した英二はアッシュに気づいて大きな瞳をさらに見開いた。

 

「。。。。あ、アッシュ。。。」

 

 

口をパクパクさせた後、英二は我に返ったようで ”ごめん” とアッシュを心配させてしまったことを謝った。

 

いつの間にか音楽が流れ、宇宙の誕生から太陽系の惑星についてのナレーションが始まっていた。

 

「外、出るか?」

 

英二の耳元で、アッシュが囁いた。

 

「う、ううん。。大丈夫」

 

「。。。まさか眠くなったんじゃないだろうな?はじまったばっかりだぜ?」

 

アッシュの言葉にどこか力なく英二は首を左右に振った。気分が悪いのでもなく眠いのでもないのなら、先ほどの反応は何だったんだとアッシュはますます不思議に思えてきた。

 

(気遣うから英二は本心を言えないのか?)

 

先ほどは優しく聞いていたが、今度は思いっきり嫌味ったらしくからかい口調で訊ねてみた。

 

「オニイチャン、急に暗くなって怖くなったとか? 俺が手をつないでやろうか?」

 

ニヤニヤしながら英二が怒り出すのを待ったが、英二はしばらく無言でアッシュの顔を見つめるばかりだ。

 

そして静かに頷いた。

 

「。。。うん、お願いしようかな」

 

 

そう言って、おずおずとアッシュの手のひらに自分の手をのせてきた。

 

(えっ?)

 

驚きのあまり、アッシュは声が出なかった。温かい体温がアッシュの手の中で広がっていく。まさか本当に手を繋ぐことになるとは思わなかった。

 

これではまるでデートにきたカップルのようではないか。予想外の言動が多い英二に振り回されることは多いが、これはないと思った。

 

「なぁ、やっぱり。。。」

 

 

やめようと言いかけて、アッシュは英二の顔を見た。彼の表情はさっきよりもずっとリラックスしている。

 

 

(。。。。。ま、いいか)

 

 

言いかけた言葉を飲み込み、アッシュもスペース・ショーに視線を戻すことにした。

 

 

*続*

 

 

お読みいただきありがとうございました爆笑。 先日、息子とプラネタリウムに行く機会があり、その時に感じたものなどを少しお話に盛り込んでます。星座の紹介やアニメキャラとのコラボ?などありました。でもあろうことか、外遊びの疲れもあり、居眠りしちゃいました。。。。息子は初めてのプラネタリウムになぜか怖がっていました(笑)たぶん暗かったからです。(英二オニイチャンはさすがに暗くてビビったわけではありませんよ)

 

あぁ、本当は七夕でお話を終わらせればよかったのですが、そううまくはいきませんね。マイペースで行こうと思います。

 

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もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM

 

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