(静岡新聞より)

 

 平日の勤務時間(PM5:00)終了後の部活動は、何時までやろうが教員への手当は0円、夏場は中学校ではPM6:30くらい、高校ではもっと遅くまで指導していてもまったくのサービス残業ということになる。

 休日の活動については、半日(4時間)やっても1800円程度、一日(8時間)でその倍くらいの手当はようやく出るようになったが、正常な報酬と言えるものではなく、部活動は、教員の善意、誠意、ボランティア精神、犠牲により成り立っている現状がずっと続いている。

 このようなブラック環境を改善しようと、ようやく文科省が重い腰を上げたにすぎない。学校現場への無責任な丸投げ状態が、国挙げての働き方改革にそぐわなくなり、行動を起こさざる得なくなったのだ。

 報酬の問題だけでなく、部活動に多くの課題があるが、義務教育の中学校と高等学校の部活動を同一視はできないので、より多くの問題を抱える中学校の部活動を対象に考えてみたい。

 そもそも部活動とは生徒の自発的な活動であり加入の有無は個人に任せられているはず。ところが中学校では半強制的に部活動へ加入させられる。部活動に入ってないと高校入試に不利になるとか、放課後に自由な時間があると非行にはしるとか、根も葉もない理由で入部させている現状がある。部員数を減らしたくないという中体連の各学校への圧力があるのかもしれない。

 いずれにしろ、自由加入制であるはずの部活動が歪んだ形で運営されている。

 顧問の確保も大きな問題だ。

 その種目の経験0、指導方法、ルールも何もわからない教員が顧問にならざるを得ないことが多い。スポーツに無縁の女性教員が運動部の顧問になってしまうこともけっこうある。自分の専門種目の顧問をやれることは少なく、多くの顧問にとっては知識が0のところからの指導になる。何年か苦労し経験を積みどうにか指導できる状況になっても転任が待っている。転任校でまた異なった種目の顧問を命じられる。これではたまったものではない。

 生徒にしてみれば顧問として責任もってしっかり教えてもらいたい、顧問が素人だから仕方ないとは思ってくれない。部員にしてみれば当たり前のことだと思う。

 生徒のみならず保護者の目も厳しく、顧問は相当なプレッシャーを受けることになる。

 また、顧問を引き受ける以上は、練習試合や合同練習、各種大会への参加などにより部員のモチベーションを高めなければならないが、学校からの活動費は微々たるもので、練習試合で大型バスを1回使えばそれで無くなってしまう程度の予算でしかない。そのため、保護者の送り迎え、父母会の立ち上げ、部費の集金など、保護者への大きな負担をお願いすることになる。

 事故や怪我、部内のトラブルがあれば顧問の責任、しかしながら、報酬や活動費はない、休日の時間が削られ、ストレスが溜まる、でも「工夫しながら何とか踏ん張ってくれ」ではあまりにも理不尽かつ無責任。

 法令上、部活動顧問を拒否することはできるようであるが、そんなことをしたら職場での人間関係が悪くなりやっていけない。

 校長の立場としては、学校運営上大変な仕事ではあるけれど、顧問を受けてもらえるようひたすらお願いするしかないのである。

 こんな状況で、「選手目線の活動が確保できる」とは到底思えない。あまりにも部活動の置かれている環境は過酷であり、教員にとっては大きな負担になっていることは疑いない。

 日本のスポーツ強化が、学校体育、部活動に頼り切ってきたツケがまわってきたのだ。将来的には、地域や実業団、プロ組織などによるクラブ化をさらに進展させ、指導を希望する教員はそのクラブの監督、コーチなどとして指導に当たればいいと思う。

 こんな曖昧、いい加減、理不尽な状態での部活動運営が続けば、ますます教員などになる若者はいなくなる。

 なぜ頭の良い偉い教育関係者の方たちは、このような現状を公にし、積極的に改善しようとしないのだろうか。

 

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