ダムについての専門知識はありません。なので以下は独断と偏見による印象論です。

 「天竜川にダムがまったくない頃は、天然遡上鮎が飯田近くまで登った」と聞いたことがあります。200km近く移動したことになります。その真偽はわかりませんが、ダムがなければ理論上はそのくらいの距離は遡上できることにはなるのでしょうか。

 古来水害に悩まされ続けた地域がダムの建設によって問題が解消されることがよくあります。発電、その他にもダムを作ることのメリットはあるのでしょうが、デメリットも生まれます。

 よく言われるのが自然破壊、生物の生息状況悪化です。

 鮎釣り師としては当然鮎のことを心配します。河川管轄漁協にとって鮎が居なくなる、鮎が釣れなくなることは死活問題です。鮎が釣れなくなり釣り人が来なくなれば漁協の存続はできなくなります。釣り人にとってもライフワークとしての楽しみがなくなることは、大袈裟な言い方をすれば、人生での大きな痛手です。

 しかし、本当に「ダム建設=環境悪化で鮎が釣れなくなる」のでしょうか。

 身近なダムの完成年度を確認してみました。佐久間ダム1956年、秋葉ダム1958年、新豊根ダム1972年、船明ダム1977年です。自分が友釣りを始めたのは船明ダムが完成したての頃です。まだまだ未熟で貧果でしたが、周りの熟練者は物凄い釣果を出していました。

 天竜川本流では連日束釣り、気田川も鮎だらけ、放流魚だけの浦川でも50匹くらい釣るのは当たり前でうらやましく思いました。

 「ダムの影響はすぐ出るものではなく、何十年単位で現れてくる」とも考えられますが、佐久間、秋葉ダムについては、完成後60年以上が経っています。仮にこの2つのダムが鮎漁に決定的な悪影響を与えていたとしたら、とっくに鮎漁は消滅していたのではないでしょうか。

 釣れなくなったにしろ何とか鮎漁が存続できている現状をどのように考えたらいいのでしょう。

 新豊根ダムの建設により水量が極端に減ってしまい、土砂の流入で砂場が多くなってしまったHG浦川、「昔は釣れたのにな~」って声はよく聞きますが、環境の悪化に苦しみながらも組合員の努力で今でも踏ん張っています。

 自分が最も気になるのは、船明ダムより下流なんです。

 最下流にあるダムということで、上流のすべてのダムの影響が集約され、それを背負わなければならない過酷な現実、宿命があるんじゃないかと。

 どの河川でも環境の破壊が進んでいますが、天竜川下流はそれを顕著に感じるんです。水質の変化、川底のフラット化などによる天然遡上鮎の激減は否めません。大井川、安倍川など、ダムによる砂漠化が問題視されている河川もあります。

 しかし、何らかの恩恵がある以上「ダムを撤去する」ことは現実的に不可能で、ダムと上手く付き合っていくことしかないと思います。

 最近、大井川を渡ることが多いのですが、大々的な河原の整備?を行っています。どのような意図でやっているのかわかりませんが、やっぱ人間の手を加えていかないと河川環境は変わりません。

 どこをどのように整備していけばいいのか専門家、地元住民、漁協関係者、釣り人などの声を聞きながら進める必要があります。天竜川下流には整備の必要性を強く感じます。

 ダムの恩恵はあるし、必要悪ではありません。「ダムがあるから仕方ない」ではなく、「ダムがあってもやれることはある」と前向きに考えることがベースではないのかな~。印象論ではなく、もっともっとダムについて勉強しないとね~。

 

        

          納得できるような、納得できないような。複雑なところです。   

 

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