「おとっつぁん、飲み過ぎは身体に毒よ」
「うるせえ、てめえの身体のことはてめえがいちばんよく知ってらぁ!」
昨今ではあまり見かけなくなりましたが、
時代劇では“ベタ”とされる父娘のシーンです。
たいてい場所は貧乏長屋で、父親は酔っ払っています。

恵まれているとは言い難い日常の暗部を描いたシーンですが、
本当に悲しいのは貧しいことではありません。
「自分の身体のことは自分がよくわかる」とうそぶき、
娘からの思いやりを拒絶することに悲しみがあります。
酒飲みの言う「自分のことは・・・」ほど、当てにならないものはありません。
なかば開き直りにも聞こえます。

今朝はすこぶる良い目覚めでした。
昨夜は深酒してしまったはずなのに不思議です。
調子が万全過ぎるほどでした。
しばらくして身体の各所に膏薬が貼られていることに気付き、
昨夜のことを思い出しました。
いい加減にお酒を飲んだあと、肩や腰にだるさを感じて貼ったものです。

それが見事なまでに効果的な場所にピンポイントで貼られていました。
そのため血流が良くなり、さわやかな目覚めにつながったのでしょう。
なかには剥がすのに苦戦するくらい、貼るのが難しい場所もあります。
酒に酔いながらも
「自分の身体は自分がよく知ってらぁ」とばかりに奮闘したのでしょう。


酔っ払ったおじさんが裸で一生懸命に膏薬を貼る姿にも悲しいものがあります。