また夜が来て、賑やかな宴のような仕事をやり切り、書斎に戻った。
でもまだ1日は終わらない。
どんなに疲れてても、いや疲れを取るために、今日を生きた証として机に向かって本を開く。
やがて眠気がさす。
もうお休みと誰かが言う。
思考力はなくなり、文字がページに埋もれていく。
闇が溜息に震える。
スタンドの光が虚しく頭の中の白いページを照らし出す。
閃きは突然やってくる。
締め切ったドアを激しく叩いて。
今だ、今だけしかない。
お前の心の叫びを書き留めるのは。
時はもう待ってはくれない。
呼び止める声も聞こえては来やしない。
明け方の空に陽炎のごとく揺れる魂魄を確かに形づけるのだ。
朝の光に照らされた寝床には、窓の外、囀る小鳥が立ち去った痕が残されていた。