「人生なんてあっという間やね」
橋の欄干にもたれた隣の君に言った。
川面を見つめて過ぎし日々を浮かべるように、今は虚空となった様々な人々や出来事を並べ立て、時の流れを傍観してる。
「今は今しかないのよ」
いつか君が言った。
その意味すら知らないで、ただ目の前の小さな欲望に突き進んでいった昨日までの日々。
今日という日はその積み重ねの結果なのか。
それとも川上から流れてくるまだ見ぬ新鮮な流れ、永遠に続く経過なのか。
時は過去から流れず、未来から流れて来る。
そんな絞り出すような今を生命と呼ぶのだろう。
あの橋を渡る時、手すりや支えすらもない。
心に伸ばした欄干一つ、それだけが頼り。
ならば呼び出すしかない。
本当の自分と真の時間を。
この橋を渡り切るその前に。
八幡公園東屋
何か人の役に立ちたい。
それは小さなことの積み重ね。
でも小さくまとまることではない。
生活範囲の狭小さに辟易している。
このままでは世界を見られない。
己の住むところだけがすべてではない。
見ようとしない。
興味が湧かない。
その方が変化なく、恒常的で楽だからか。
そこを出てみよう。
好奇心のままに。
足の向くまま、少しでも気になることがあればフットワーク軽く足を運んでみよう。
大赤字でもその信念を微動だにしない孫正義社長ではないが、真っ赤っかの夕陽を拝むための自分自身の判断を。
萎縮することなく、思い描いたビジョンのままに。
普段見慣れたどこにもあるような景色も、視点を変えればこんなにも美しいのだから。