忘れたくても忘れられない、そんな夢がある。

人生の一瞬を切り取る時、幾つもの印象的な光景が思い起こされる。

目を瞑り、その際の音や光の流れ、匂いまで思い出すと、込み上げてくる感情を抑えきれなくなるシーンもあれば、心の底から仄々と温かな情感に満たされる場面もある。

それらは決して忘れてはならないし、忘れたくないし、やはり忘れられはしないのだ。

そしてそこには必ず人が介する。
音楽や風景、あらゆる物は人や思い出を鮮やかに浮かび上がらせる演出となる。
バックボーンは揺るがぬ心。
人を愛し愛された紛うこと無き真実、事実。
過去の中ではもう、誰も誰をも陥れることなどできない。

起承転結、そこにドラマがあり、裏があり、表があった。
その全体像が明らかになった今、厳然たる事実は、信じることで始まり、信じることで物事が進み、信じることがすべであったということ。

涙が出るほど懐かしく、しかし今もそこにあり、心の映像としていつでも再生できる奇跡の一瞬に額ずき祈る己が居る。