～金運の上がる前世～

母の胎内を抜け出た私は、赤黒い壁の細いトンネルを、小さくなった私はくぐりぬけていきました。遠くのほうにかすかな光が見えてきました。ただひたすらそこに向かって進んで行きました。明かりはどんどん近くなり、トンネルから抜ける直前、「これが前世の私かな？」と思われる、金色の髪をきれいに結った若い女の人が隣に並走していました。その人は最近のアニメに出てくるようなかわいい女の人で、古代～中世ヨーロッパの雰囲気のする衣服を身につけていました。

トンネルを抜け、導かれるまま扉を開くと、一瞬、空に火山の噴煙のような茶黒い煙がそびえたつのが見え、その下方に見たことのあるようなヨーロッパの港まちの風景が広がっていました。懐かしいといわれると懐かしく、親しみがあるといえばそのような気がしました。

「手をみてください」そう言われて自分の手を見ると、肉厚でごつごつとしていて、自分かと思っていた女性のか細い手ではないことに驚きました。次に、靴、足元を見ました。足は皮でできた男性ものの草履のようなものを履いており、衣服は布を巻いたものに鎧を身につけているようでした。導かれるまま頭を触ってみると、ゴワゴワとしていて、短く、白髪が交じっています。年齢を聞かれると「６７」という数字が最初に浮かびました。

辺りを見回しましてみました。その街は、現在のパースの南にあるフリーマントルという港町を、もっと時代を遡ったような雰囲気でした。そのとき私は、道のちょうど交差点に立っており、右手には港が見え、帆柱のたった船が何艘か停泊していました。道は、石畳や土でできており、車は無い時代という感じでした。その場所で私は街を見守るような仕事をしていたようで、街全体の安全を黙視するかのような気持ちでそこにいました。「家はどこ？」と聞かれましたがその辺りではないようでした。「家に行きましょう」と言われて向かいましたが、気づくと立派な白馬に乗っていました。そして家だと思った建物は、濃い赤の建物に鉄が格子に貼ってある頑丈そうな感じで、木の両開きの大きな扉を衛兵に開いてもらって中へ入りました。「家の中に入ってください」と言われましたが、なかなか家の中らしき場所にはたどり着かず、どうやら家だと思った濃い赤の建物は、自宅の敷地に入るための門扉であったようでした。

家の敷地内には、右手に納屋のようなものがあり、家の入口前には噴水がありました。

「家族を集めて食事を・・・」と言われましたが、使用人が５～６人、せわしなく厨房で食事の用意をしていて、結局、広間の長いテーブルについたのは使用人だけでした。「家族は？」と聞かれましたが、壁に父親らしき人の大きな肖像画が飾ってあるだけで、心辺りのある人物は見当たりませんでした。

「その前世の幼少期のころに戻ります」と言われて、小さい頃育った家を見ました。そこは、数十部屋あるようなかなり大きな白いお屋敷で、丘の上に立っていました。たくさんの緑と庭園があり、眼下には港町と海がきらきらと光るのが見渡せる素敵な場所でした。

私は５～6歳で、犬が友達だったようです。そこでも家族が集まったところを見ました。身体の弱い母、おばあちゃん（乳母？）と犬と使用人で長いテーブルについていました。私はおばあちゃんに育てられたようで、母とはあまり交流がなく、身体の弱い母は私を面倒だと思っていたようでした。父はいたようでしたがテーブルにはつきませんでした。立派で威厳がある父だということだけは把握できました。「10代のころを見てみましょう」と言われましたが、10代ではすでに白馬に乗り、背筋を伸ばして立派に町を見守る仕事をする準備ができていたようです。

おそらく代々そういう仕事をしてきたのだろうと思われます。何の疑問も持たず、ただ与えられた使命をこなしているようでした。

「人生で一番重要な場面にいきます」と言われて浮かんできた光景は、戦争か暴動か事故のような何かが起こり、町の女性（最初に出てきた女性かもしれません）や弱い子供が亡くなり、その場所にいなかった私は町の人々を守れなかったことを悔やみ、色とりどりの花を手向けている場面でした。その事件以来、毎朝、青と白の花の並ぶ墓所を訪れて町の人々の冥福を祈るとともに、一日一日、を大切に噛みしめて生き、港に沈む美しい夕陽を見るたびに、その日の街の平和と安全に心を馳せ、ただあることに感謝の気持ちを持って日々を過ごしたようでした。

再び最初に出てきた67歳の場面に戻ろうとすると、私は司祭のような出で立ちで、立派な椅子に座り、すでに街を見守る仕事は退いているようでした。幸せなひとときは？聞かれましたが、使用人が用意してくれた果物の盛り合わせの旬のぶどうを食べることくらい。亡くなるときは、若い使用人に看取られて老衰で亡くなったようでした。自分の人生に満足し、それ以上は求めず感謝の中で心穏やかに亡くなりました。

結婚はこの人生ではしていないようでした。出てきた女性とは特に関係があったわけでもないのですが、いつも安全を気にかけていたようです。特に孤独を感じることもなく、街の人々に慕われ、使用人たちとも仲良く暮らし、穏やかで派手さのない、職人気質な人生だったようです。

おかねは一度も出てきませんでした。かなり裕福な暮らしで、身分も高い家に生まれ、自分もその職についたようで、おかねについて考えたことさえなかったようでした。身分に相応しいものを与えられ、満足していたようでした。贅沢に興味を持ったふうでもありませんでした。

≪この前世を体験し、今生とつながる部分≫

◎子供のころ、お金の工面の話をする家族を見て、自分はここの子供ではない、関係ないと感じていたこと

◎周囲は普通のサラリーマン家庭にも関わらず、「おかねもち」の基準が、なぜかはんぱなく高く、住みたい家はいつでも豪邸。実家は自分の家だと思ったことはない。前の結婚で

家を買おうという話になったが、「小さい普通の家をローンを組んでまで買うなんて」と魂の底から喜べず、結局買わなかったこと。代わりに持ちビルの最上階なら、という願望が湧いてきたこと。

◎人との表面的なコミュニケーションには長けているが、内面では排他的な部分があり、孤独を好むこと。一人で過ごすことは全く平気であること。

◎実家は目の前が海で、30歳前後までは、海の近くでないと不安で生活できないと思っていたこと。

◎子供のころは「暴れん坊将軍」を見て、白馬に乗って小学校に通学したいとずっと本気で思っていたこと

◎前世の一部は、地中海周辺地域に住んでいたような気がしていたこと。丘から見える港町は小さなころから不思議に心が魅かれた。学生時代、地中海辺りに旅行に行ったことがあり、エズという丘の上の小さな町から、夕陽でピンクになった地中海を見て、懐かしさに似た普通に以上の感動をしたことを思い出しました。

◎花にとても癒される。初めてフラワーアレンジをしたとき、うれしくて涙が出たほど。

◎夕陽を見ると心から癒されること。子供のころはオレンジの光に何かしら感じていたので見つめたままじっと動かなくなったり、毎日のように夕陽を追いかけたりしていたこと。

≪金運アップのためにこの前世から得たこと≫

○亡くなる際に、私は今のままでよい、と言われたこと

何かを無理に変えようとせず、流れに乗って行こうと思います。

○「お金持ちである、豊かである」という人生を、前世で経験していたことを思い出すことができたこと

今までは「豊かである」という心がなかったために宝くじで豊かにならない程度の金額を当てていたのだと思います。この豊かで満足している感覚は常に心にとめておこうと思います。

○差し出された環境をあれこれ考えて迷わず、ありのままを謙虚に受け止め感謝すること

親から受け継いだ家業を10歳から何の疑いもなく誇りを持って亡くなるまでやり遂げたこの前世。今世の私とは真逆で、仕事はほとんど自分が望んで引き寄せたのに、すぐに嫌な面や面倒な面に気を取られ、うまくいかないと自己否定に陥り、実は今の仕事も辞めさせてもらおうかと悩んでいたところでした。ですがこの前世を体験して自分に自信が持てました。宝くじに当選して、好きな何かをスタートさせたとしてもこのことに気が付かなければ同じ結果に陥り、事業を転々として人にも迷惑をかけるところだったと思います。この前世から教えてもらえた一番の気づきは、ここかも知れません