読書記録:大山淳子「牛姫の嫁入り」

 

三日月村の派遣忍びであるコウは、美しく賢い女。貧しい旗本・加納光政の依頼を受け、十万石の大名である藤代家の娘・重姫を誘拐し見合いさせるすることになった。「誘拐見合い」とは男女を強引に引き合わせ、互いに気に入れば縁談成立。家格は不問、誘拐など手段の罪にも一切問われない、もともとは公家に伝わる裏作法とか。

 

幼い時から伝説の美少女と噂された重姫は、ここ10年人前に姿を見せずにいた。しかし、屋敷へと忍び込んだコウが見たのは、牛のような肥満体で饅頭をパクパクと食べている変わり果てた重姫の姿だった。

 

共に行動している守市は気性はいいがドジな忍者。コウに重姫を無理やり背負わせられて廊下に出ようとすると、重姫の身幅があまりに大きくて、畳一枚ぶんの幅を抜けられず、両肩がつかえ、倒れてしまった。

 

たちまち藤代家の家臣に取り囲まれ捕まってしまった2人。コウは1ヶ月の間に重姫を美しくするという条件で、処分を延ばしてほしいと提案。どちらにしろ、このままの姿で誘拐しても、光政の嫡男が重姫を受け入れるとも思えなかったのだ。更に、それが成功すれば、誘拐見合いを呑んでほしいと頼んだ。重姫を持て余している藩主藤代好継は了承するも、重姫への期待はなかった。

 

それからは、厳しい中にも的確なコウの指導と重姫の素直な気持、更には恋煩いによる食欲不振なども手伝って、重姫は細くなり美しさを取り戻していく。その他、いろいろなエピソードが絡まってくるのだが、登場人物に悪人がいなくて、気持ちよく読み進められる小説だ。

 

始めは忍びのシーンから始まるので、私はこの小説にダイエットが出てくるとは全く想像していなかった。実は私はStayhomeのせいもあり、体重が増えてしまい、今朝も人生に嫌気が差してきていたのである。だって、食欲が止まらないんだもの。

 

こんな時に、お姫様なのに掃除や洗濯で汗をかかされ、食事は粗食、というハードなダイエットシーンを読んで、「これって、私に『ダイエットしなさい』という神のお告げかしら?」と思ってしまった。

 

重姫は恋煩いのため食欲が落ちてきたとはいえ、1ヶ月の間に皆が驚くほどのスマートな美人になったということは、少なくとも45キロぐらいまでになったのか。この太り方の描写からいうと100キロ以上はあったと思うが、そうなると1ヶ月の間に55キロの減量?そりゃあちょっとありえないとおもうけれど、最終的に「肥満気味」というところで終わっちゃうと、お話としては面白くないものねえ。(笑)

 

ああ、私は10キロ(いや5キロでも)でいいから痩せたい。明日からは牛姫さまを見習ってダイエットをまた始めることにしよう。

 

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