丸山穂高議員問題についてのウソ | やさしい社会ブログ

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丸山穂高議員の北方領土についての発言につき、議論が盛り上がっています。しかし、中には明らかに虚偽、あるいは少数説を常識のように話している方もおります。特にテレビのコメンテーターに目立ちます。これでは子供の教育上悪影響です。そこで、今回は虚偽、あるいは少数説の主張を紹介し、正したいと思います。

 

一、まず問題となる発言は次です。

 

丸山穂高議員:「戦争でこの島を取り戻すのは賛成ですか?反対ですか?
 元島民:「戦争で?」
丸山穂高議員:「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか?」
 元島民:「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」
丸山穂高議員:「でも取り返せないですよね?」
 元島民:「いや、戦争はすべきではない」
丸山穂高議員:「戦争しないとどうしようもなくないですか?
 元島民:「いや、戦争は必要ないです」

※今回の記事は丸山議員のこの発言のみに関する論評です。

 

二、誤った主張1 「我が国は戦争をしないと誓った国。だから、戦争で北方領土を奪還することは、憲法違反である」

 

この見解は少なくとも政府見解とは異なります。確かに憲法を文字通り読めば、「あらゆる戦争を禁止している」と読めます。
ちなみに憲法9条は以下の通りです。

 

第九条
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

国語的観点から読めば、確かに
「国際紛争を解決する手段」=あらゆる戦争
「前項の目的」=あらゆる戦争を放棄する目的
「交戦権」=戦闘する権利
となり、北方領土を奪還することは憲法違反ということにありそうです。

 

しかし、これでは、日本は侵略にほとんど立ち向かえないことになり、外国の侵略を誘発してしまいます。中国もアメリカもロシアも国益のためには戦争をする国なのです。

 

そこで「防衛戦争」は認められるというのが政府の見解です。憲法9条の意味は次のようなものだと考えます。
「国際紛争を解決する手段」=侵略戦争
「前項の目的」=侵略戦争を放棄する目的
「戦力」交戦権」=これらにも「侵略戦争を放棄する目的を達成するため」という限定がある。つまり侵略戦争のための「戦力」「交戦権」はない。したがって、防衛戦争のための「戦力」「交戦権」は認められると考えられます。

 

さて、北方領土はロシアに不法占拠されているというのが日本政府の見解であり(外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/hoppo.html)不法占拠された領土を奪還する防衛戦争は、憲法上許されます。

 

三、誤った主張2 「石破 茂 です。丸山穂高議員の発言は、「急迫不正の武力攻撃」が発生した時にのみ自衛権の行使としての武力を行使することが出来る、という国際法や自衛隊法の基礎的常識を知らなかったという一点において、ただただ驚き呆れるばかりです。」http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/

 

自衛権の発動を「武力攻撃」に対するものと限定するのは、おそらく少数説です。たとえば、憲法の権威者である故芦部信喜先生は、自衛権発動が正当化される条件として
①外国からの侵害が急迫不正であること②侵害を排除するために、ほかに方法がなく、一定の防衛措置をとることが必要であること③その防衛措置が過剰なものではないこと
という条件を挙げられております(憲法講義ノートⅠ)。この見解が通説です。

 

通説的見解では「侵害」は領土を不法占拠されていることを含むはずです。ちなみに「急迫不正」とは「現時点で法益が侵害されているか、または侵害がさしせまった状態にあること」です。
また石破さんの見解によると、現に武力攻撃されているときは「自衛権」を発動できるが、竹島・北方領土など武力攻撃が終了し、不法占拠されている既成事実ができた場合には、「武力攻撃」がないのですから、自衛権が発動できないということになりそうですが、これはあまりにも不合理ではないでしょうか。

 

四、誤った主張3 「北方領土を戦争で奪還することは国連憲章違反である」

 

石破さんの考えも、おそらくは国連憲章2条4項で国家による武力行使は「一般的」に禁止されており、その唯一の例外が同51条の「武力攻撃が発生した場合」であるという国連憲章の文言に基づくのでしょう。

 

しかし、同2条4項は、同7章に定められた国連軍の創設など、個別の国ではなく国連を中心とする安全保障体制の確立がその前提です。残念ながら、現時点では国連軍は創設されておらず、同2条4項は機能しておりません。
また、戦後も数多くの戦争が繰り返されていますが、そのほとんどにおいて国連は無力でした。各国の安全保障が、国連にではなく、それぞれの軍事同盟(集団的自衛権)によっていることは明らかです。国連憲章2条4項、同51条が規範として効力がないのは明らかであり、失われた領土を戦争で奪還することは国連憲章違反とは言えません。

 

五、誤った主張4 「丸山議員の発言は許せない。懲罰により議員を辞めさせよ!」

 

これはテレビ朝日コメンテーターの玉川徹氏の発言です。憲法58条2項に次のようにあります。 

58条2項

両議院は、各〃その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 

 

しかし、これは議院が運営されるためには一定の秩序が守られることが必要であり、その秩序を守るためのものです。丸山議員が議長の制止を無視して行動したなどの「議院の秩序」を乱した行動をしたわけではありません。そこで丸山議員を懲罰にかけることは無理です。

 

六、誤った主張5 「そんなに戦争をしたければお前一人でしろ!!」

 

戦争の悲惨さは、これを体験したものでないと分からないといえます。戦争を防ぐべきなのは当然です。しかし、我々が考えなければならないのは、「防衛戦争をやる準備を怠らず、来たらやる」という体制か「軍事力を持たず丸腰でいる」体制か、どちらが戦争をしなくてすむ体制なのか?ということなのです。
もし戦わずに侵略されたらどうなるのかについては、チベットやウィグルについて勉強してください。
 
#丸山穂高 #石破茂 #北方領土 #憲法9条 
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