日本の課題とその解決法について論じた本である。
是非とも、教育関係者,中・高生必読。できれば小学生にも読んでほしい素晴らしい本である。私なりに要約すれば次のようになる。
一、日本の現状
ビッグデータの時代×AIの性能向上により世界は劇的に変わってきている。
しかし日本はこの15年、一人負けを続けた。今や、企業単位では中国はおろか韓国にも敗れ、この25年日本だけがGDPを伸ばせないでいる。つまり、世界的に生産性が高まってきているのに、日本だけが伸ばせないのだ。
その理由は、
①最低賃金が低すぎる(韓国より低い)。だから貧困ゆえに若者が才能を伸ばせないでいることだ。
②女性が活躍できていない。
③現役でやれる高齢者が65歳で引退させられている。
④科学技術が急速に衰退している。たとえば論文数は2005年くらいまで米独に次ぐ3位だったが、2016年は6位で、人口が日本の半分の韓国に追い越されつつある。
特に計算機科学での遅れは目立ち、計算機科学の大学ランキングは日本のトップの東大でさえ135位だ(世界1位は中国の精華大学)。また、大学教員の給料が30年以上にわたって上がっておらず、このままでは優秀な人材を海外に引き抜かれる。さらに博士号取得者が減少している。
⑤ビッグデータの時代×AIの性能向上の時代においては、第一に様々なビックデータを持つこと、第二にデータ処理力、第三にこれらを利用・活用できる仕組み・人材がいることである。日本にはこの全てがない。第三の問題についてはたとえば、2017年にやっと滋賀大学にデータサイエンス学部ができたが、アメリカではすでに500以上の学部がある。
以上まとめると、日本は1853年の黒船来航時くらいに世界から立ち遅れた。
二、日本の勝ち筋
産業革命は第一フェーズ「新エネルギーと技術」、第二フェーズ「高度な応用」、第三のフェーズ「エコシステム構築」という流れで進む。
産業革命の時は日本は第一のフェーズには参加できなかったが、第二のフェーズ(自動車、家電、カメラなど新しいものづくり)、第三のフェーズ(新幹線、ファミコン、ポータブルオーディオなど)から参加し圧勝した。
今回のビッグデータの時代×AIの性能向上の時代においても、フェーズ1のビッグデータとAIの活用)にはほとんど参加できなった。だがこれからフェーズ2(データとAIの二次的応用、つまり政府のいうところのSociety5.0)、フェーズ3(インテリジェンスネット化)に参加すればよい。
そのためにはフェーズ2(=Society5.0)の前提となる社会(AI-ready化)をつくらなければならない。
三、具体的方策
①具体的には創造と刷新が重要な時代において価値を生み出せる人と場を生み出す。多面的な人材のAI-ready化が必要である。だから教育自体を変えなければならない(個性的な人間をつくる、データ×AIの持つ力を解き放つことができ、感じたこと・判断したことを自分の言葉で伝えられる力を育てるなど)。
②年齢・性別による雇用差別を廃止すべきである。
③国のリソース配分を変える、寄付の充実化、基金の創出などをして科学技術、若者の育成にもっとリソースを流す必要がある。
四、未来
そして、自然とともに生きる美しい未来(風の谷)を構築したい。
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