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宝箱/otetsu

2019-11-03 22:01:18 | 日記

otetsuさんの新譜

「宝箱」

 

otetsuさん自身もブログで仰っていましたが、

魂のようなものをこめた一枚だとのことで、

いずれも名曲の10曲入りアルバムです。

 

星屑ユートピアからもう10年も経つのですね。

10年追いかけ続けているということです。

 

エゴサしやすいように感想を吐いてくれとのことなので、ご本人の目に触れるかどうかはさておき、今回はきちんとした感想を残しておこうと思います。

私はニコ動派なので、リンクはyoutubeではなくniconicoのものを貼っておきます。

 

まずはクロスフェード。

 

 

M-1 甘苦い中毒

 

変換したら「甘煮貝」って出たよ。なにそれ美味そう。いや、でも、甘煮貝中毒って何かこわ。

1曲目がGUMIちゃんなのは久しぶりです。carnival以来か。

otetsuアルバムの1曲目というと、多少アップテンポで、毒を吐きまくって、キャッチ―、というよりは、耳にこびりつくというニュアンスで癖になるメロディの1曲というのがセオリー。いい意味でセオリー。今回も例に漏れず。

苦く患う愛しさ。何度だって会える、甘美な「夢」。解毒なんてしなくていい。逃れたいけど逃れられない、という意味の、中毒。毒。

過去作へのリンクを感じる歌詞も散りばめられています。mementoとか、holeとか。

宝箱の蓋としての1曲。

 

 

M-2 エゴイスティック

 

少々レトロ味を感じるピアノイントロで始まり、全体を通して気怠い雰囲気でルカ姉の歌う1曲。

私事含みですが、昔々に好きだった男が、結婚をした時の、あーゆー気持ち。

お幸せにと、願わないわけないんですけど、結婚式には出たくないという……。それもエゴイスティックなんでしょうかね。

「これで良かったね」っていう言葉は、結局、最後の最後になっても出てこないような気がします。

想いを“放つ”と締めているところが、静かな中に潜む攻撃性を匂わせているように思います。

ちなみにそんな彼は、数年前に離婚し、最近再婚もしました。だから何。

 

 

M-3 9

 

こちらはniconicoにもアップされている1曲。

今回のアルバムの中では比較的早いテンポで、けれど、切なさもマシマシなメロディ。

9月って何を指すのか、はっきりとは理解できていませんが、夏の出口、秋の入口みたいな位置づけだとするなら、昂っていたものが冷めていく、その落ち着きを感じて、安心感と寂しさを同時に感じるような、そういうニュアンスではないかと思います。ダメだな、ムリだなと、お互いに感じながら、でもなんとなく続いていたけれど、未来が見えなくて、ゆっくりと手を離れていってしまう、寂しさを感じます。

最後が「終わりなき」と、連体詞で留まっているんです。何が続くのでしょうか。

 

 

 

M-4 窒息

 

こちらもniconicoにアップされています。ゆかりさんのボーカルです。調教すげぇと、nicoにコメントしたのは私。otetsuさんのゆかりさんはすごいですよ。

全曲の中で最もダークというか、ローテンションで、低いキーで、それこそ窒息しそうな1曲ですが、なぜか脳内リピートされる。特にサビ前のメロの、「此処には無くて 何処にも無くて…」のところ。

窒息。足りないのは酸素。

生きるために必要な何かが足りない。

愛ではない。愛は持っている。隠し持っている。頬張れば、窒息しそうなほどの熱。

 

 

 

M-5 Each life

 

90年代っぽいイントロに続いて、アルバムの中では最も明るいメロディ(相対的には)で、GUMIちゃんが元気良く歌ってくれる1曲。往年の名曲transient dreamのような雰囲気を感じます。なぜかBメロでテンポが若干上がっているように空耳してしまう。

タイトルそのままですが、それぞれの“生”を、生きるということを歌っています。でもそれはやっぱり楽しいだけじゃなくて、笑ってばかりはいられなくて、でもその痛みが大切だと。

 

 

M-6 かげ

 

引き続きGUMIちゃんの1曲。これもniconicoにアップされています。先行配信もされていて、勿論買いました。

曲調の激しさとは対照的に、別離を歌った一曲だと解釈しています。どういう理由での別れなのかは読み切れませんが、「かげ」「空(くう)」というのは、存在が失われてしまったということなのだと感じさせます。失くしてしまったもののかげを見つめ続けている後悔の歌。

 

 

 

M-7 別れの歌

 

これもタイトルそのまま。niconicoに上がった時から聴きまくりました。これもどこかレトロな雰囲気がするんです。

これもまた別の、別離の歌なのか、かげの続きという気もする。

潔く忘れ去ることなんてできない、また会いたい、もしまた会えたら。そんな気持ちを捨てることができずに抱え続けようとするけど、ああ、ぼろぼろ零してしまう。

 

 

 

M-8 明日、世界が終わるなら

 

今作はとことん別れを歌いたい、というようなotetsuさんの気持ちを感じます。引き続きルカ姉が歌うさよならの歌。

「また来世」って、漫画なら冗談で出てくることもあるでしょうか。実際にそんな気持ちを向ける相手が居るとしたら、どんな人でしょう。「今世はもうごめんだ」という人かもしれない。「でもまた会いたい」という、そんな誰かかもしれない。

私の開いた宝箱の中には、鬱々とした黒い物ばかりが詰まっていたけれど、貴方の中ではひとかけら、「燦然たる光」を放つ何かになりたい。

 

 

M-9 宝箱

タイトルナンバー。

なんというか、変なたとえですが、合唱曲のようなテンポ、メロディ、歌詞。1コーラス後の間奏なんて、そう、“どっかで聞いたような?”というような耳に馴染んだメロディ。だけど、決して陳腐だと言っているのではありません。上手く言えませんが、懐かしいというか、絶対に皆が好きな調子というか。

タカラモノの詰まった宝箱を閉じる曲。どれも汚れていて、あれも、これも、苦しくて苦くて、ろくなものじゃないと思っていたけど、仕舞ってみるとそれはやっぱりタカラモノだったんじゃないかと思える。鍵をまた開ければ、出てくるのはやっぱり、汚いものかもしれないけど、大切に仕舞っておく。

 

M-10 夢が終わる時

 

ラストナンバー。GUMIちゃんがラスト曲を担当するのも久しぶり。『罅』以来か。いつも読み方分からなくなるけど、ひび、ね。

otetsuさんのアルバムはラストが至高というのがセオリー。いい意味でセオリー。今作はどれもこれもトリを張れるような名曲揃いですが、やっぱり一番涙腺に来るのはラストナンバー。

特に、大サビ前の。「いつだって あなたは正しい」から、一拍置いて、GUMIちゃんの「すぅっ」という微かなブレス音、そして「今、夢終わり…」と続く流れ。何回聞いても鳥肌が立つ。

静かに始まり、ゆったり、ゆったりと流れて消えていく1曲。リピートすると、曲入りと、曲終わり、“同じところに還っていく”と感じさせる。

宝箱を閉じた。現実にあるのは、やっぱり、絶望と、先の見えない闇。でも、その先に。そこへ向かって歩き出して。さあ。

 

 

 

以下はM-10を聴きながら……。

 

“いつも通り”と言ってしまえば、それはそうですが、全体として、暗く、悲しく、苦しく切なく、けれど優しい、そういうアルバムです。いつも通りです。

 

愛とか、人とか、生とか、己とか、執着とか、後悔とか、世界とか、夢とか、そういうの、何もかも、鬱陶しくて、うざったくて、キモくて、クソくらえで、変えたくて、ぶち壊したくて、でもやっぱそのままでいいや、それはそれで。っていうような、諦観と寛容とツンデレ? みたいな何か。そういうものがじわじわ染み出している。そんな1枚です。

 

otetsuさんの曲に支えられてきた10年でした。

なんというか、良くも悪くも寄り添ってくれたという感じです。就職して、失恋をして、病気をして、家を出て、旦那に出会って、旦那の病気、そして、その他もろもろ……10年やそこらでこういうことを言うのはおこがましいですが、幸せだったと、良かったねと、そう言えるほどの実感は無いです。それが贅沢だとか、甘えているとか、そういうのは総じて外から見て言えることであって、結局は個人の感じ方で。目の前の道を、己の判断で、時には無理やりな勢いで、駆け抜けて? だらだら歩いて? 行くしかないわけで。

私はTwitterしていないですし、ニコ動派なので、情報を逃してしまいがちですが、「otetsu」で定期的に検索しています。GoogleとかだとTwitterの検索結果が勝手に出てきて、毒を吐きまくっているotetsuさんが心配になります。他の誰とも違う曲を生み出し続けてくれている氏の絶えざる努力にただただ尊敬と感謝を送りたいです。DAPの中のotetsuさんプレイリストは200曲近くになっています。連休明けからもまた、これに支えられて生きていくわけです。というか、またこれで暫く延命できるというようなありがたみを感じながら、投稿します。


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