延岡『大丸ホルモン』工業都市には焼肉が似合う!昼飲みできる老舗

延岡『大丸ホルモン』工業都市には焼肉が似合う!昼飲みできる老舗

2020年9月27日

宮崎県北部、人口12万人の街「延岡」。高千穂神話の舞台から始まり、かつては一帯を治めた延岡藩7万石の藩庁があった城下町という歴史のある街です。

また、誰もが一度は使ったことがある”サランラップ”などを作る工業都市。ここは旭化成の創業の地として、現在も多くの旭化成グループや関連企業の事業所が集まる企業城下町でもあります。

歴史と産業・労働がある街に老舗酒場あり。今回は延岡から工業都市らしい一軒、ホルモン焼肉の「大丸食堂」を訪ねます。

延岡へは、JR日豊本線の普通列車で宮崎駅から1時間半、「特急にちりん」ならば約1時間で結ばれています。大分・佐伯方面へは難所「宗太郎峠」を越えることになりますが、道路交通は近年開通した東九州自動車道で大きく改善されました。列車は昔ながらの峠越えで、山肌に沿って走る車窓は旅情たっぷりです。

2017年に建て替えられた駅舎は待合室だけでなく、カフェや書店などが併設されたおしゃれなものになっていました。

夜は多くの人で賑わうであろう立派な繁華街が広がる駅前。その昔、もっと重化学工業が労働集約型産業だったころは相当な賑わいだったことでしょう。当時の記録は延岡市や旭化成のホームページでみることができます。

そんなこんなで、駅前を歩いて7分ほど。赤い暖簾が目印の「ホルモン焼 大丸食堂」にやってきました。ここは延岡駅周辺で貴重な昼酒スポット。11時から営業開始。お昼から夜まで通しで営業していますから、旅の合間に立ち寄りたい、筆者のような旅行者・出張者にぴったり。

入って左はテーブル席。地元のお父さんがお昼からビール片手に一人ホルモンを満喫中。右は小上がりで、奥では女将さんが仕込み作業をしていました。あわせて4卓、夜は予約が安心です。

メニューは単純。食堂とはありますが、ほとんどがロースターで焼くホルモン系。390円からとかなりお手頃価格。

昔の冷房って、容赦なく冷気を吹き出しますよね。こういうお店では、むしろこの冷風が幸せにしてくれます。

突き出しのキャベツと注文したビール(550円)。ホルモンは女将さんのオススメでもある、ホルモン(390円)と特上ホルモン(520円)を一つずつ。秘伝の甘辛タレもセットされました。

火を付ける前に、まずはビールで乾杯。福岡でつくられた樽生キリンラガー。渋いお店には、渋いラガーがぴったりです。

キモはレバー、心臓はハツ、ロースやカルビ、センマイなどのお馴染みの部位がありますが、一番人気はやっぱりホルモン。ホルモン(左)は小腸で、通称白ホルモン。特上ホルモンは赤ホルモンでハラミ肉(横隔膜)です。ちなみに、三番人気は分厚く切られたタンだそう。

白はパリパリになるくらい焼いて、ハラミはジューシーさが残るくらいでひとくち。クサミは皆無で、ただただ肉の旨味が味覚をくすぐりビールを誘います。

ニンニクが効いたタレが味を引き締めます。

白ホルモンは絡まりをほぐすと平たくなり、それがだんだん熱でまるまってきてら出来上がり。赤ホルモンにはビール、そして白ホルモンには……

やっぱり本格焼酎(390円)でしょう。白霧島と木挽ブルーの2銘柄から選びます。今日は白霧島の気分。一合たっぷりちろりや徳利に入れて出してくれるのは、九州の焼酎文化のひとつ。

丸い氷が浮かぶロックグラスに、なみなみ注いできっゅとひとくち。そこに香ばしいホルモンを含めば、とってもいい気分。女将さんと世間話をしながら、ちびりちびりと食べて飲んで、楽しいひと時です。

小一時間ほどの昼酒時間でした。飲んでいる間も予約の電話がかかり、夜はそれはそれはご盛業の様子です。

創業60余年になる老舗「大丸食堂」。良き店ですから、ぜひ延岡へ行った際は立ち寄られてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名元祖ホルモン焼 大丸食堂
住所宮崎県延岡市栄町5-2
営業時間営業時間
11:00~22:30
定休日
開業年1960年頃