「津波の怖さを知っているから」~防災が“根っこ”にあるアパート。 | 目の付け所から広報まで一気通貫で考えるPRコンサルタント 堀 美和子のブログ

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だって人は、心が動かなければ行動しませんもの。
それはB to CでもB to Bでも同じ。
人間心理からストーリーマーケティング、新聞記者の経験もプラスして、あなたのビジネスを応援します。

明日まで「防災週間」。

近くのスーパーやホームセンターでも
懐中電灯や乾電池、スマホの充電器、備蓄用食料等の
特設コーナーが設けられてて、

改めて「災害に備える」ことの大切さを思い出させてくれます。





特に大阪は昨年、大阪府北部地震や台風21号等、
大きな災害に襲われ、私の住んでる地域も台風禍で
約3日停電しましたから、「水もう1本買っとこか」と
つい買い物が重くなります。(^_^;)



昨日、「どんな人にもモノにも会社にも“根っこ”がある」
と書きましたが、この“防災”を“根っこ”にした
アパートオーナーもいてはるんです。


今日も広報ジャーナリスト・堀美和子のブログにお越しくださり、
ありがとうございます。あなたに感謝ですっ!







そのオーナーさんのことを思い出したのは、
昨日の大阪日日新聞さんのコラム「潮騒」。


「(前略)

 今日3日は、大阪などに甚大な被害をもたらした
 ジェーン台風(50年)からちょうど69年になる。

 大阪湾岸地域の取材先で町会役員から
 当時の被災状況を聞いたことがあるが、
 にわかに想像できないほどの浸水被害に驚かされた。

 時代背景は異なるが、
 過去の被災体験を地域防災に生かし、
 防災意識の高揚に努める姿勢に頭が下がる思いがした」




大阪湾岸地域と同じように、
数百メートルも走れば海を臨む三重県のとある町。

そこに若いオーナー夫妻が建てたアパートの
集客相談に乗ったことがありました。



一応前職が住宅メーカーなので、
その物件を見た時、「おや?」と思ったんです。

明らかに周辺の住宅やアパートより、
基礎(部分)が高い。

  
  (この立ち上がり高さのことです。画像はイメージ)



不思議だな~と思いつつお話を聞いてると、
「このアパートは津波を意識したものなんです」と。



アパートを設計される時、
向こう三軒両隣のお年寄りに、
伊勢湾台風とかの時の津波・浸水のことを聞き、

役所で持っている浸水予想と照らし合わせ、
その分基礎をかさ上げしたとのこと。


更に駐車場隅の倉庫には備蓄食料や水、

  


屋根にはソーラーパネルを乗せ、
発電した電気を蓄電池に貯める仕組みになっていました。
 

 


また、いざという時は「共助」が大切ということから、
日頃から地域で、或いは旅行者も交えて交流できるよう、
ちょっとしたセミナールームも設けられていました。



当然それだけの手厚い設備にすれば
建築費が上がります。

更にオープンスペースは賃料を生みませんから、
どうしても家賃を周辺より高く設定しないと、
初期投資が回収できない。

 

収益改善と、いざという時の非常用電源も兼ねて、

「貸し電気自動車」もやっておられたのですが、

それだけでは周辺物件と家賃を揃えられる程の

利益は出ませんから。

 

 

 


それで、新築物件にもかかわらず、
入居率が伸び悩んでおられたのですが、


そのアパートのHPを見てみると、
防災設備には触れてあっても、スペック表示だけ。


「蓄電池容量〇kw」とかね。

それだけでこのアパートのことを“読み取れる”人って、
いるのかな?と思いました。

 

 



恐らくいても、不動産業者くらい。

その人たちからちゃんと説明がなされなければ、
入居希望者さんには、この安心感が伝わりません。



すごく残念だな、、、と思った。

  
(国交省推奨の「重要事項説明書」[部分]
 「特記事項」等で詳しく説明されれば良いのですが。。。)




地域の古老方から直接、

「津波は恐ろしいもんやで。
 わしの腹辺りまできたからな」

という説明を受けて決心したとか、

当時の町内の助け合いの様子を聞き、
皆が助け合える仕組みが必要と考えたとか、


  
 

 

奥さまのご実家が昔、かなりの津波を経験して
その恐ろしさが身に沁みているとか、

若いオーナーが防災を意識するようになった経緯が、
一切記されてなかったのです。





まさに冒頭のコラムをお借りすれば、

「過去の被災体験を地域防災に生かし、

 防災意識の高揚に努める姿勢に
 頭が下がる思いがした」級のことなのに。。。

 


  

 

 



周りの競合物件と比べて不利になるような選択を
敢えて行ったこととその訳。

その自分達の“根っこ”をキチンと説明すると、


防災意識の高い入居者が集まったり、
地域で活動する様々な団体との交流ができたり、

 


  
 

 

単に賃料の高い安いで選ばない層が惹きつけられ、
「あのアパートってすごいやん」という評判も生まれる。




イベント等で親しくなってくれた人が、
この町に引っ越してくる友人・知人に
「このアパートはエエで」と紹介もしてくれる。

 


  
 

 


知らない土地で業者の言うままに
賃貸住宅を契約するのは不安ですから
知人の一言って大きい。(^_^)/

その安心を考えれば、
少しくらいの賃料の差は補って余りあります。


 

 

このアパートのように、
「なんとかして売りたい!」となると、
どうしても、その物にフォーカスし、
それだけを説明しがちです。


しかし、

☆なぜあなたがそれを売るのか?
☆それを作ろう・売ろうと思った背景は

 何なのか?
☆そのまた背景には何があるのか?


という“三段階の根っこ”を
キチンとお客様に説明してください。

 

 

 

 


どんな人にも、お店にも、

モノにも、サービスにも、
生まれてきた由縁がある。



私の揺るぎない信条です。

 


  
  (国だってゆえあって生まれるんですもの。)





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