チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

姑のこと

2020年07月01日 | 介護
義母は8年ほど前から認知症を患い、施設に入所している。
入所当初、ヒロシと面会に行くと、義母(当時の義母は、一緒に暮らしていなければ認知症とは気づかないほど元気だった)は「銀行に預けていた定期預金100万円が無くなった。義兄たちが勝手に使ったのだ。」と言う。
私たちは、まさかそんなことはあり得ないと思いながらも半信半疑だったのだが、後に私が認知症サポーターとして学習したことによれば、それは認知症の初期症状だった。
認知症患者は財布の置き場所を失念してしまい、誰かに盗まれたと思い込むことが多いらしい。そして、犯人としてごく身近な人、たとえば世話をしてくれるお嫁さんを疑うというのだ。義母の場合、それがお財布ではなくて、定期預金だったわけだ。

それからしばらくして、自分の体内で赤血球が作れないという原因不明の病気になり、一時危篤状態になったのだが、輸血などにより乗り越えた。
それからまた、しばらくして何かの感染症になった。これは、人工透析患者が感染すると大変なことになる菌らしくて、ヒロシと私は面会できなくなった。
だから義母はヒロシが亡くなったことを未だ知らない。
義兄は知らせなかった。その方が幸せと言うものだろう。
今ではもう息子・娘の名前も忘れてしまったようだ。

先々週のこと、義母が熱中症になり入院したと義兄から連絡が入った。
その3日後、肺炎を併発して血圧が低下し、危険な状態に陥った。
いよいよかと家族の誰もが覚悟したのだが、義母はなんとか持ち直した。
孫たちは、ばあちゃんは不死身だから今度も大丈夫と言っていると聞く。
そして、先週また義兄から連絡。
義母は持ち直したのだが、脳梗塞を起こしていて、医者から胃ろうをしなければ生命の維持はできないと言われたので同意したということだった。
(ちょっと待って!お義兄さん。ホントにそれでいいの?)
私の言葉にできない想いを感じ取ったのか、義兄は
「いや意識が無いんなら(胃ろうを)やったりはしないけど、呼び掛けると目を開けて反応するんだぞ。このまま何にもしないって訳にはいかないだろう?」と説明した。
息子である義兄が決めたことだ。私は「そうですか」と答えるほかはなかった。

今後、意識が無くなって植物状態になっても義母は当分生き続けることになるだろう。果たして、それは義母にとって良いことなのだろうか?
このまま見捨てられないという義兄の想いも肉親の情だと思う。

私と(実)母は、その辺のことについては確認済みだ。
胃ろうは絶対にやらない。延命措置もしない。
毎日、母の口癖「まったぐ、こだごどして、いづまで生ぎでんだべ(早くあの世へ行きたいものだ)」を聴かされている私にとっては、早くあの世へ送り出すことも肉親としての情だと思っている。

ヒロシが生きていたなら、どっちを選んだろうか。おそらく、私と同じだと思う。
でも、男の子は母親に対しては特別な感情を持っているからなぁ。
けど、最後はこう言ったと思う。
「俺はおふくろの面倒見てるわけじゃないから、兄貴の決めたことに従うよ」


どっちを選ぶかは、人それぞれだ。








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2 コメント

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Unknown (せしお)
2020-07-02 07:36:53
うちは母は元気なので現実味無いのですが、やっぱり延命処置はしないと、お互い確認しあっております。
>せしおさん (チエ)
2020-07-02 17:49:17
コメントありがとうございます。
話し合ってはいても、その時になったらやっぱり迷うのかなぁ。

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