観戦記1687 WBOフライ級王座戦 田中恒成vs田口良一 | 人生マイペンライ

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《本日のTV観賞》

 

昨年の日本ボクシングの年間最高試合賞は、WBOフライ級王座戦 木村翔vs田中恒成 『観戦記1585』 が文句なしで受賞した(世界戦以外部門では久我勇作vs和氣慎吾 『観戦記1505』)

田中選手の3階級制覇がかかった試合だったが、最終ラウンドには漫画のようなド突き合いを魅せてくれた。しかし!この凄まじい試合に、生中継どころか当日の放送もなし(ネットでの生中継はあったが)どうしても、実績の割には世間一般の認知度が低いのが田中選手も気にしているようだが酷い扱い。

なんとなくジム系列で放送チャンネルの住みわけができているが、JBCが一括管理みたいにしてせめて世界戦は総て当日にテレビ中継してくれないのか!?

そして、その3階級制覇田中恒成選手の初防衛戦が岐阜で開催され!ちゃんとTBSで生中継してくれた!
 

 

田中恒成選手は幼少から空手を習い、打撃強化の為に小学校5年生からボクシングを始める~中京高校に進学し、セレス小林さんとプロ3戦目でセレス小林さんの日本王座に挑んだ 『観戦記281』 石原英康さんにボクシングを教わり高校4冠を達成。井上尚弥選手の弟の拓真選手が高校2冠なのは、高校総合大会決勝などで、田中恒成選手に負けなど同世代だった為。 そして、高校在学中に元WBCスーパーバンタム級王者の畑中清詞さんのSOUL BOX畑中ジムから18歳でデビュー~11月のデビュー戦で、WBOミニマム級6位のオスカー・レクナファに判定勝ちし日本ランキング10位にランクイン~2014年3月の2戦目で、WBAミニマム級12位のロネル・フェレーラスに判定勝ちしWBA14位にランクイン~3戦目に井上尚弥選手のデビュー戦の相手の『観戦記289』クリソン・オヤマオを1RでKOし東洋太平洋ランキング1位~4戦目で原隆二選手を破り、最速記録となる東洋太平洋ミニマム級王者に輝く~そして5戦目でフリアン・イエドラスとのWBOミニマム級王座決定戦を制し 『観戦記888』 日本最速記録で世界王座栄冠。

師匠の畑中会長が果たせなかった世界王座初防衛戦には、WBO5位のビック・サルダールを迎へ5Rに初ダウンを喫するも6RにボディーでKOして王座防衛に成功 『観戦記1040』かなりの減量苦もあり王座を返上し、2016年5月にIBFライトフライ級9位のレネ・パティラノと対戦し6RにボディーでKO!試合後には、WBAライトフライ級王者の田口良一選手に対戦のラブコールを送る⇒WBAは田口選手とWBA1位の宮崎選手の対戦を指令 『観戦記1189』 そしてWBOライトフライ級を9度防衛していたドニー・ニエテスが 『観戦記696』 『観戦記843』 『観戦記908』 ビックマッチを求めてベルトを返上しフライ級に上げアメリカに進出⇒ミニマム級に続きまたも王座決定戦なのが残念だが、大晦日にWBO1位のモイテス・フエンテスとWBO2位の田中選手と王座を争い『観戦記1271』 5RにTKO勝ちし、わずか8戦目での2階級制覇達成!

2017年5月の初防衛戦の挑戦者は、2017年2月にWBO1位のジェフェ・ウトニとの挑戦者決定戦を10RにTKO勝ちし指名挑戦権を獲得したアンヘル・ティト・アコスタ。3-0で見事に田中選手の判定勝ち 『観戦記1325』

9月の2度目の防衛戦には、WBO13位、WBA3位のパランポン・CPフレッシュマートと、統一戦が噂されていた当時WBAライト級王者の田口良一選手が解説している前で9RにTKO勝ちしたが目を負傷して統一戦は流れる。田中選手は療養後はフライ級へ、田口選手もヘッキー・ブドラーに判定負けしライトフライ級王座を失う 『観戦記1467』 

そして怪我が癒えた田中選手が、ターゲットであるWBOフライ級王者の木村翔選手をTV解説に迎えて、2018年3月にWBOフライ級13位のロニー・バルドナドを9RにTKOで降す 『観戦記1663』 そして、当時の最速3階級制覇を賭けて9月に木村選手のWBOフライ級王座に挑戦し大激闘の2-0の判定勝ちで3階級制覇を達成 『観戦記1585』

 

 

そして、初防衛戦に迎えるのは運命の糸は切れていなかった!元WBA&IBFライトフライ級王者の田口良一選手が復帰して田中選手に挑戦!

 

 

大田区体育館でのボクシング教室でボクシングを始めたらしい田口良一選手。兄弟は姉2人を持つ末っ子で優しそうな顔立ちもあり、小学校の時はいじめられた事もあるらしい。 「自分に自信を持ちたかった」と、中学3年生の時に大田区体育館でのボクシング教室に参加し興味をもつ~芝商業高校3年時にいつもの京浜東北線ではなく、山手線で帰宅中に電車からワタナベジムの看板を見て通い始める。芝商業高校は高い就職率だったが、バイトとボクサーの両立を選び自ら逃げ道を塞ぐ

2006年7月にデビューし、瀬尾智宏選手に1RKO勝ち~その後も5連勝1KOで東日本新人王を獲得~2007年12月に中澤翔選手に判定勝ちし、全日本ライトフライ級新人王に輝く~2連勝後の2009年8月、瀬川正義選手に判定負けで初黒星~しかし再起7連勝して2011年10月、後のWBCライトフライ級王者になる木村悠選手に判定勝ちし最強後楽園ライトフライ級トーナメント優勝~2012年3月に、黒田雅之選手の日本ライトフライ級王座に挑戦も判定ドローで王座獲得ならず~しかし2013年4月に、日本ライトフライ級王座決定戦で知念勇樹選手を判定で破り王座栄冠。 その間に、田口選手は驚異のアマ選手に粉砕されている・・・・2012年春に、プロ入り前の井上尚弥選手とのスパーリングで2度ダウン。田口選手は隠れて涙を流したらしい「意地があった」と、2013年8月に井上選手の挑戦を受けるが判定で敗れる 『観戦記563』 しかし、ダウンすらなくいまだに2人しかいない井上選手にKOされていないボクサー 「あの舞台が世界戦で生きるはず」 と、再起しフィリピン人に2連勝して世界戦のチャンスを引き寄せる。2014年末の世界戦当日に井上選手からは大田区体育館での試合前に会場で「頑張って」と激励されたらしい。田口選手は「うれしかった。井上君の試合が衝撃的だったんで、意識してしまった。本当に強いですよね」と笑って答えることができる人間性。そしてアルベルト・ロッセルに判定勝ちしWBAライトフライ級王座を獲得~2015年5月の初防衛戦では、クワンタイ・シスモーゼンを8RにTKO 『観戦記870』 2015年大晦日の2度目の防衛戦は、ルイス・デラローサを9R終了時TKO『観戦記1052』 2016年4月の3度目の防衛戦では元WBAミニマム級暫定王者のファン・ランダエタを11R終了時にTKO勝ち『観戦記1120』 4度目の防衛戦では、元WBAミニマム級王者の宮崎亮選手に判定勝ち 『観戦記1189』 5度目の防衛戦でカルロス・カニサレスに1-1のドロー防衛 『観戦記1258』 6度目の防衛戦の挑戦者はWBA1位、指名挑戦者のロベルト・バレラにも9RにTKO勝ちし6度目の防衛に成功 『観戦記1346』 直後、WBOライトフライ級王者の田中恒成選手から統一戦のオファーを受け快諾。しかし田中恒成選手のWBOライトフライ級王座2度目の防衛戦でパランポン・CPフレッシュマート に9RにTKO勝ちも田中選手が眼窩低骨折・・・・

そして大晦日の7度目の防衛戦でIBFライトフライ王者のミラン・メリンドとの統一戦を判定勝ちしWBA王座の7度目の防衛とともに、IBF王座とリングマガジン王座も獲得~2018年5月にWBA7位、IBF6位のヘッキー・ブドラーにジャッジ3者とも113-114の判定負けで王座陥落 『観戦記1467』

 

 

そして田口選手は引退を決意するが、ブドラーへのリベンジをする為に再起を決める。しかし、ライトフライ級で再栄冠しても減量苦でどこかで返上になる・・・そして、ブドラーとの再戦条項のオプションを同ジムでライトフライ級に階級を上げた京口選手に譲る。「もちろん、リベンジしたかったです。でも、僕はワタナベジムに所属するボクサーである以上、ひとつのチームですから」

そこに王者である田中選手から田口選手へ防衛戦のオファーを送る!縺れた対戦の糸が平成最後の日本人世界戦として実現!

 

2019年3月16日 WBOフライ級王座戦 田中恒成vs田口良一

 

 

田中恒成 12勝7KO無敗 3階級制覇

 

 

田口良一 27勝12KO3敗2分 WBO4位

 

 

1R、田口選手はガードを固めて前へ出て接近戦を仕掛ける!田中選手は動きながら速い連打!

 

 

2R、リズミカルに田中選手が素早く動き、手数多く左を打つ~田口選手はガードしながら前に出続けてアッパー!

 

 

3R、田口選手が珍しく右を外から廻す!田中選手は腰を落とすがダウンは堪える~しかし、田中選手は距離を取りながらボディーを効かせていく

 

 

 

4R、田中選手のジャブが冴える!手数多くガンガン攻める~さすがに田口選手も下がり鼻血も出す

 

 

5R、田口選手が手数を出していくと、田中選手はクロス!

 

 

さらに、田中選手が動きながら強烈なボディー!

 

 

6R、お互いに引かない!田中選手はサイドステップを使う~ボディー!田口選手は打たれようとも出る!

 

 

7R、田中がスピードに乗ったコンビネーション!右!さらにスピードある動きで田口選手を翻弄する!

 

 

8R、田中選手の手数が落ちない~様々な角度で田口選手に打ち込む!田口選手も下がらずにボディー!

 

 

9R、田口選手らしく、しつこく攻めて押し込む~それでも田中選手は動きを止めずに右!

 

 

10R、上下にパンチが止まらない田中選手が押し込んでいく~田口選手は下がりながらもカウンターの右!

 

 

11R、いきなり両者が打ち合う!田中選手が回転力を生かして強いパンチを連打で打つ!

 

 

12R、田中選手が倒していく!しかし、田口選手も打ち合いを望む!

 

 

またも田中選手は派手な打ち合いを仕掛ける!

 

 

判定は、117-111 117-111 119-110 意外や大差が開いて田中選手が初防衛に成功!田中選手は『1つの試合として見たら、いきなり年間最高試合の候補に挙げていいんじゃないかという、良い試合になったと思う。田口選手は自分の想像を超えてくるくらい、気持ちがすごかった。自分も逃げたくない、相手の気持ちに応えたい、俺も打ち合いたいという気持ちになった』 と、コメントするが・・・プロなので魅せる事は必要だとは思う。しかし今後はナチュラルのフライ級選手やスーパーフライに上げる事を考えたら、一撃パンチャータイプではない田中選手だから打たれない試合でイイのではないか!?

同じ3階級制覇王者の長谷川穂積さんが 『ただ、この試合は実際の3分の2くらいのダメージで終わることができたとも思う。激闘を期待する観客に応えたい気持ちはよくわかるが、打ち合いに応じ過ぎると選手寿命に関わる。僕自身が経験したのは、その時は大丈夫だと思っても後で確実にダメージが出てくるという現実だ。日本人同士の気持ちのぶつかり合いでは仕方がないが、今後意識してほしい点ではある』 と談話を残している。

 

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