IRコンサルタントのオフィシャルブログ

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IRコンサルタントとしての日々の気付きを中心に綴っています。IR実務は財務知識や経営だけを知っていれば済むものではなく、意外と幅広い知識が必要です。これ、誰に聞いたらよいの?というちょっとした疑問のお役に立てば幸いです。

「公開して幹事証券にIRのコンサルティングを依頼しているが、もう少しきめ細かく見て欲しい。」
統合報告に取り組むことになったのだが、今ひとつイメージがつかめない。」
「海外事業展開の拡大に向けて、英文の資料を見直したい。」
「未上場だが、アニュアルレポートは必要か?」
「海外からのお客様用に英文のパンフレットを作りたい」
プレスリリースで何を発信すべきかわからない。」
「当社のホームページに本当に必要な情報は何か?」
「英文書類の用語の統一が図られていない。」

このようなお悩みをお持ちの企業のためのコンサルタントのブログです。

事例としてメインに取り上げているのは海外企業のアニュアルレポートと統合報告です。海外では日本で考えられているような投資家、株主向けの資料という意味合いだけでなく、ステイクホールダーに対する会社案内、企業ブランド構築ツールとしても使用されています。

ですから、上場、未上場に関わらず自社をより広く、正しく社会に知って頂くための手段の一つとしてアニュアルレポート、統合報告は企業、非営利団体、学校などのあらゆる団体、組織にとって非常に参考になる資料です。

貴社、貴校のIR/PR活動のお役に立つヒントになれば幸いです。
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東証の新上場区分でプライム市場を選択した企業の1841社のうち、約300社がプライム市場の上場維持基準を充足していないとの記事が出ていました。(2022年1月12日、13日 日経朝刊)

 

プライム市場では、流通時価総額100億円、流動性として1日平均2000万円の売買代金などの維持基準を満たすほかに、「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月改定)への対応が求められます。今回は、この中でも英語による情報開示に注目したいと思います。

 

 基本原則3-1. 情報開示の充実
 補充原則3-1②
 上場会社は、自社の株主における海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において、英語での情報の開示・提供を進めるべきである。
 特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである。

 

プライム市場の基準を満たしていない会社のサイトを見てみると、英語のIRページの内容が貧弱と言えるところもあります。サイトにはないけれど、英訳資料は用意してあるという企業もあるのかもしれませんが、「英語での情報の開示・提供」の「提供」という観点からも不十分です。

 

企業が作成している上場維持基準の適合に向けた計画書をみると、英語での情報開示の取り組みを具体的な日程を示して説明しているところもありますが、英語での情報開示の取り組みを進めますとだけ書いてある会社もあり、取り組み姿勢に温度差が感じられます。

 

これまでは、外国人株主比率が低い、あるいは外国人株主が存在しないため、開示情報の英語化の必要性を感じていない会社が多くありました。しかし、プライム市場を選んだ以上、時価総額を上げる、または保つためには、外国人株主がいないから英語化をしないのではなく、外国人にも買ってもらうために英語化を行う必要があります。

 

一口に開示情報といっても、適時開示と任意開示を合わせるとかなりの情報量になります。従来から英訳を進めてきた会社であれば、最新情報を英訳するだけで済みますが、これから開示情報の英語化を始める会社にとっては、どこから始めるか、いつまで遡るか、など合理的な範囲を定めて、直ちに英訳を開始する必要があると思います。