経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

オーナー社長が仕切る上場会社

2018-09-30 14:58:56 | ひとりごと

 私は一部上場会社二社に勤務していた経験がある。どちらも同族系企業であり、社長は創業者の息子や孫である二代目若しくは三代目が延々と続けていた。当時反骨精神の強い役職者や役員たちは、酒食の席で「非上場の会社ならともかく、上場会社で息子が何年も社長を続けているのはおかしい」と愚痴をこぼしていたものである。

 だがそれは余りにも現実を知らな過ぎたようだ。なんと日本の上場会社の53%が『事実上の同族企業』なのである。具体的にはトヨタ自動車(豊田家)、サントリー(鳥井・佐治家)、キッコーマン(茂木家)、キヤノン(御手洗家)、パナソニック(松下家)などの超大企業も同族企業に該当するのだ。

 ただ非上場企業のオーナーが過半数の株式を所有しているのに対し、上場企業のオーナー社長自身の持ち株割合は、表向だと10%に満たない程度の低所有割合である場合が多い。これは一族郎党・従業員持ち株会・一族が支配している非上場会社などが保有していたり、主要取引先やメインバンク等との株式持ち合いなどにより、安定株主数が確保されているからである。これらの細かい事情については、その企業の総務部門などで株式管理を担当している者や、オーナー一族などにしか分からない。従って外部の一般株投資家たちは、ある程度の想像しか出来ない、という仕組みになっている。

 さて従来はこのような創業家のオーナー経営がまかり通ってきたわけである。と言うよりも、創業家の強力なリーダーシップに支えられてきたと言いかえても良いだろう。だが近年は創業者の死亡や老害化に加えて、国際環境及び社会通念の大変化やテクノロジー等の激烈な進化が押し寄せてきて、創業家だけの経営手腕では難局を乗り切れない状況に陥っているようだ。
 そんな創業家の事情を反映するかのように、かつて創業家一族間に多かったお家騒動に加えて、最近はセブン&アイ・出光興産・セコムなどの「創業家vs非創業家の経営陣」の対立構図が増えているのだ。

 だからと言って、単純に『創業家は大株主として配当を頂き、経営は子飼いの従業員に任せる』という方法だけでまかり通るほど経営は甘くはない。確かに子飼いの従業員は信頼感があるが、所詮雇われ社長には限界がある。また自己の全財産や身体を投げ打ってまで会社を守ることはできるのか。だが逆に創業家と言っても、創業者以外の二代目・三代目だって、自己を投げ打つほどのパワーと信念を持っている者は少ないだろう。

 では一体どうすればよいのか、答えは簡単ではないし、各企業ごとにその解決方法も異なってくるはずである。いずれにせよ、すんなりとはいかないのだ。とにかく内外を問わず戦うしかない。戦って勝ったものが次の覇者になるのだ。これは戦国時代からずっと変わらない真理だ。弱い者は敗れ、強い者が企業を制するのが世の習いなのである。

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