経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

ハンコ不要論が独り歩き

2020-10-15 12:20:52 | 経済ニュース編

 河野太郎行革担当大臣が省庁での「ハンコ廃止」論をぶち上げて、巷でもハンコ不要論のラッパが高々と吹き荒れている。だがそもそも省庁でのハンコ廃止の意味は、稟議書などにズラズラと大勢の関係者や上司などのハンコが押されており、「何事にも手間と時間がかかり過ぎる」ことを問題視しているのである。
 
 それがいつの間にかハンコ文化の否定とハンコ廃止論へと転化してしまったきらいがある。確かに15年ほど前に中国や韓国、台湾から印鑑登録制度が消失してしまい、現在でもハンコ文化を続けているのは世界中で日本だけになってしまったようだ。
 しかしながらハンコ文化は、邪馬台国の卑弥呼の時代にも金印が使われていたくらい歴史のある文化なのだし、ここまで日本人の暮らしに深く根付いたものを廃止するメリットはなにもない。つまりハンコ自体が悪いのではなく、その活用方法の一部がスピードアップされた現代にそぐわなくなっているだけなのである。

 その代表例が官庁や企業における稟議書等におけるハンコの羅列だということなのだ。まず決済されるまでに手間と時間がかかることは前述した。だがそれだけではなく、他人のハンコを見たうえで自分もハンコを押し、大勢で連帯責任を負うことにして、結局は実質的に誰も責任を負わない、というシステムに成り下がっていることも大問題なのだ。
 従ってこれらを電子決済システムにして、他人の決済状況は見せずに、全員に本日中に決済させる仕組みにすれば、上述した問題点は全て解消される訳である。

 ところで経理マンなら誰でもピンとくるが、何百枚もある手形や小切手には、一枚一枚サインをするより、印鑑を押したほうが合理的である。また日本人的感覚としても、色紙や書画などの押印された印鑑は、なかなか格調高く感じられるではないか。このようにハンコ自体にはまだまだ活躍の場は沢山残されている。くれぐれもハンコ不要論だけが独り歩きしないように…。

作:蔵研人

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