もうどれくらい前に読んだのか覚えていない。
赤瀬川隼氏の「影のプレーヤー」。
「捕手はまだか」という文庫本に入っていた短編小説である。
赤瀬川氏は68歳で直木賞を受賞した作家だ。
どれくらい前に読んだのであろうと、いい小説のいいフレーズはよく覚えている。
正確なところを知りたくて、本屋さんで探したのでだが、絶版になっていた。
図書館に行くとあったので、さっそく読んでみた。
やはりいいセリフである。
書き抜いてみる。
焼物を作るのが天職だと思う人は、焼物で一流になって食べていく。絵を描くことが天職だと思う人は、どんなに苦しくてもその道で食べていく。つまり、プロとは、それを天職だと思って逃げない人のことだ。一見そう見えてそうでない人もいる。プロ野球にもいる。金を得る手段に過ぎないと思う人がね。それはプロという世界にいてプロでない人だ。
いい文句だ。
物書きも同じだと考えている。
プロとアマの差は実力でいったら、ものすごく大きなものではない。
けれども、天職だと思うか、思わないかというのが分かれ道であるのは確かだ。
赤瀬川隼『影のプレーヤー』文芸春秋 1985 「捕手はまだか」文庫
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