第34話「祭典委員長の大仕事」 | ちょっと笑えるお話@しゅんちの極楽日記

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町内の重役となってしまったしゅんち。肩書きは祭典委員長である。
そして、祭典委員長の最大の仕事は秋のお祭り「秋季例大祭」なのである。

・・季節は秋となりいよいよしゅんち祭典委員長の正念場がやってきた。
秋祭りの一連の流れはこの通りである。


1.おみこしに参加する子供達にお菓子を配る

2.子供のおみこしを手伝う

3.お神楽(かぐら)と近所の各家庭を回る

5.お神楽と一緒に神社に参拝

 

6.おじさん達と慰労会


・・こうしてしゅんち委員長の
長い夜が始まったのだった。


16:30~

集合場所である町内会倉庫にはっぴを着た子供達がワラワラと集まりだした。
どこにこんなに子供達が住んでいたのか知らなかったがとても
少子化とは思えない光景である。


 

17:00~

わっしょい!ピッピ♪わっしょい!ピッピ♪

 

 

笛と掛け声に合わせにわかに盛り上がりをみせるおみこし。
おみこしを担ぐというよりも
重い荷物を運んでいるだけのおみこしは町内を進む。


18:00~
おみこしの途中で他の役員にその場を任せ、しゅんち委員長はお神楽隊が待機している食堂へと向かった。
そこでは礼服を来た町内副会長や会計顧問など物々しい面々がビールをあおりながら、お神楽の人たちをもてなしていた。
しゅんちはビールを駆けつけコップ3杯を一気に飲み干し、いよいよ出発。


ピ~ヒャラ♪ピ~ヒャラ♪ トトントントトン
 

笛や太鼓を鳴らしながら練り歩くお神楽隊。

よくよく聞くとなかなかの技術である。
これだけの演奏技術を垂れ流しているわけだからご近所にもご利益もあるというものだろう。


18:30~

各家庭にお神楽隊と共に訪問する。
入る機会などまず無いと思っていた近所の家庭の居間に上がり込む。
正座で待ち構える家族たち。座布団が敷かれた席の先頭に座るしゅんち委員長。
お神楽隊は見事な獅子の舞を見せ、一通り踊った後にご祝儀を受け取り挨拶をする。

 

 

「おめでとうございました」


なぜか挨拶はおめでとう?


19:30~
町内の各家庭をぐるりと回った後、神社に向かいお神輿を奉納する儀式である。

奉納と聞くと「何かを奉げて納める」という意味だと思うのだが一体何を奉げるのだろうか。

どうもいつものお参りとは意味合いが違うらしい。

 

・・神社に着くと、綿あめやたこ焼きなどの夜店があり、神社は盛り上がりをみせていた。

この後にも花火大会も控えているらしく神社にはかなりの人たちが押し寄せていた。

そして他の地域からもおみこしやお神楽が集まっていて、神社に奉納する順番待ちをしていた。まさに

 

 

奉納渋滞。

 

 

しかし、なぜこんなに各地で同時多発的にお祭りをしているのだろうか・・・。

・・そして待つこと30分。

ようやく順番が来て、しゅんちは台本通りに発声。


しゅ「吉村地区!お神楽ご奉納させていただきます!」

 


で、奉納って何なのさ?

 

21:00~

 

残りのお神楽周りも終了し、食堂に戻る。

もうすでに酔っ払い、陽気に騒ぐおじさん達に圧倒され委縮しながら慰労会は進んだ。

ようやく慰労会が終わる頃には22:30を過ぎていた。

 

こうして、無事に秋季例大祭が終了となるのだった。

その日、しゅんちは疲れ果てぐったりと眠りにつくのだった。

 

 

次の日・・・

しゅんち委員長は神社へ招かれていた。
着て行く服は礼服。
先日、結婚式の準備で用意した漆黒の礼服が役に立っていた。

しゅんちは恐る恐る神社の境内を覗く。
境内には黒服のおじさん達がひしめき合っていた。



町内のレジェンド勢揃い。


おじさん「あ、祭典委員長さんかな?」

しゅ「あ、はい。お、お邪魔します・・・」


このレジェンド達の前では
圧倒的小物なので末席にちょこんと座るのだった。

どうやらしゅんちの住む地区は、8つの地域に分かれて各地に8人の祭典委員長がいるらしい。
そしてしゅんちの地区は辺境の小国だったらしい。

 

 

井の中の蛙、大海を知る。

 

 

いや、結局は町内でしょ。


 

しばらくすると立派な着物に聖徳太子のような帽子をかぶった神主が、お祓い棒を両手に持ち現れた。少し小太りで眼鏡をかけた60歳前後という感じである。今にもドリフのコントが始まりそうな雰囲気である。

神主「いやいや皆さん、昨日は盛大な宵祭を執り行っていただき誠にありがとうございました」

 

 

よいまつり?
 


神主「それでは本祭りを始めさせていただきます」

 

 


え、え?これから本番なの?


・・どうやら、しゅんちが苦労して準備し執り行ったのは前夜祭だったらしい。
そしてこれから行われる儀式こそ本祭りだというのだ。


ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ


太鼓の音が腹に響く。
すると神主が野太い声で見事なお経を読みだす。



神主「無事、本祭り執り行われました」


あっさり終了。


神主「えー・・・お祭りというのは人が集まる事が大事でして」


神主はお祭りの趣旨を説明し始めた。
しゅんちはここでお祭りの真の意味を読み取れてきた。


これはあくまでしゅんちの解釈である。


しゅんちの住むこの地域の中心はこの吉村神社なのである。
ここを居城とする神様がこの地域一帯を守ってるという
設定である。


こりゃ設定としか言わざるをえない。


年に一度、秋祭りの日に神様の住む扉が開かれ、その神はこの地に住む者たちの様子を見に来るらしい。

お祭りの日には子供たちがおみこしに神様を乗せ町内をお祝いして回る。
お神楽はこの地域で起きためでたい家に対して笛と太鼓と獅子の踊りでお祝いを捧げる。

その家庭をお祝いしているので挨拶は「おめでとう」だったのだ。

 

最終的にはこの神社にやってきて、神様にお神楽の舞を奉納し神社をお祝いする。

神社では出店や花火を予定し、人を集める。
お祭りとは人が集まる事がお祝い意味だと。
神様は人が集まる事が喜びなのだという。

 

 

お祭りの全てはこの地を収める神様をお祝いする事だったのである。

 
 
 

地域に愛着を持ち、この地で幸せに暮らしてく事を願うお祭りである。

そんなお祭りに一役買えたことが嬉しく思うしゅんちであった。

 

ありがとう・・・
本当にありがとう・・・

 

 

無事に大役を務め、家族と地域の協力に感謝をしつつ、この役を引き受けて良かったと思うしゅんちであった。

 

 

町内の大役を無事務めました~TT
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